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成功させるために体育会系の気合よりも重要なこと

孫子に学ぶ、「是の故に将兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝ちを求む。」

(現代語訳)

勝利の軍隊は、開戦前の企画の段階で勝ち、実際の戦争で勝ちを納める。敗北の軍隊は、事前計画も準備もなく、実際の戦争に出て、勝ちを求めようとする。

(解説)

勝敗は戦場で決まるものではなく、事前計略や計画の段階でほぼ決まっている。勝算がなくとにかく戦場へ赴けと言う考え方では、負けは当然なのだ。当然のことながら戦争においては、勢いや気が大切なのだが、勝算があってこそのものであって、勝算がないのに気合だけでは勝ちようもない。

起業には勢いが必要だが、だからと言って、勢いだけで起業してしまってはいけない。これからやろうとすることが、勝算があるかどうかを最低限でも見積もるべきだ。正直、紙の上で勝算があったからと言って、必ずうまくいくわけではなく、やはりやってみなければわからない。やらなきゃわからないんなら始めて見よう、と言うのも愚かとしか言いようがない。大抵やったけれどダメでしたと言うのが見えている。

その勢いは、別に世の中とかそのビジネスにある勢いではなくて、自分の「思い立ったが吉日」なだけと言うのが大きい。以前から独立は考えていたが、上司から叱られた。あるいはネガティブなきっかけとしては会社から不当に首を切られた。勤めていた会社が倒産し、給料未払が発生した。とりあえず失業保険をもらいながら、転職活動も横目で見ながら、起業を試みる。

勢いは自分の気持ちの盛り上がりだけではダメなのだ。もちろん自分のモチベーションの高まりは絶対に必要だが、自分がやろうとしているビジネス自体に勢いがあるタイミングである必要がある。しかし勢いがないからと言って、そのときにやらなきゃならないわけではない。一番大切なのは、勝算をもって始めるということなのだ。その勝算とは自分なりのだけでは足りない。チーム全体の、あるいは周囲の人からヒアリングをしてみて、そこで自分なりに勝算があると思えた、と言うレベルまで高めておきたい。

まずは起業してから試行錯誤ではいけない。勝算があった上での試行錯誤が必要。その勝算は最低でも自分たちのサービスに「顧客ニーズ」がありそうだということ。当然サービスを出してから、元にターゲットとしていた顧客ではない、別のターゲット顧客の方がいいと気づく場合もある。それはやむを得ない。顧客ニーズがあるかどうかわからない、サービスありきでは「事前計画も準備もなく、実際の戦争に出て、勝ちを求めようとする」敗北の軍隊がすべきことである。気合と根性だけでは勝負には勝てない。

[教訓]

〇勝算を確信してからビジネスを始めよ。

〇勝算は自分なりのではない、チームなりの、そして第三者からヒアリングをしてみてから、自分なりの、というレベルまで高めておかなければならない。

〇気合と根性だけしか武器がない場合には勝利はおぼつかない。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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