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競合他社との状況比較で得られるものとは

孫子に学ぶ、「主孰れか道有る。将孰れか能ある。天地孰れか得たる。法令孰れか行わる。兵衆孰れか強き。士卒孰れか錬れる。賞罰孰れか明らかなる。吾れ此れを以て勝負を知る。」

(現代語訳)

敵と味方の君主はどちらが優れているか。どちらの将軍が優れているか、天地の条件はどちらが有利か。法令の適用はどちらが良く行われているか。軍隊はどちらが強いか。どちらの士卒(兵士)が優れているか。賞罰はどちらが明確にされているか。これらを比較することで勝敗が予想できる。

(解説)

まずは7つのチェックポイントについて、味方と敵の状況を把握せよという。ここには一切の感情を入れることなく、実情を冷静に見極めようとする。実際の戦争では、こういった項目を見ることもなく、あいつが気に入らないとか、楽観的な見通しで戦争をすることも珍しくはない。実際の経営ではどうか考えて欲しい。

君主とは代表取締役のこと。競合会社との代表同士を比較して、どちらが魅力的であるか。どちらが将来を見通しているか。

将とは平取締役のこと。COO(執行担当取締役)、CFO(財務担当取締役)等、代表取締役を補佐するにあたって、優れた人材がいるかどうか。

天地とはタイミングやポジショニングのこと。どの会社のサービスが、いい場所にいるか。そのサービスは時機を得ているか。

法令とは、社内規則も含め、コンプライアンスを順守しているかどうか。残業代を支払っているか、働かせすぎはしていないか、違法行為を会社ぐるみでやっていて、それを従業員にやらせるように仕向けていないか。代表がグレーなことを平気でやる会社は、どこかで足元をすくわれることになる。

軍隊とは組織のことであり、どちらの組織が優れているか。指揮命令系統が乱れていると、組織として力が発揮されない。

士卒とは従業員等の会社のスタッフのことで、スタッフ自体がよく教育されているか。顧客に対して気づかいができるかどうか。

賞罰はインセンティブ制度が優れているかどうか。やればやっただけ、報酬が上がるとか、何かメリットがないと人は思い通りに動かない。ましてや、やらなくてもたくさん報酬をもらえる制度にするのが一番よくない。

[教訓]

〇競合他社と比較して勝てる組織のチェックポイント7つ。これで勝敗を予測できる。

〇コンプライアンスの順守。会社ぐるみで違法行為を行っていてはどこかで足元を掬われる。

〇会社経営にはインセンティブ制度も重要である。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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