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リピーター顧客の作り方

孫子に学ぶ、「善く兵を用いる者は、人の兵を屈するも、而して戦うに非ざるなり。人の城を抜くも、而して攻めるに非ざるなり。人の国を毀るも、而して久しきに非ざるなり。必ず全きを以て天下に争う。故に兵は頓れずして利は全くすべし。此れ謀攻の法なり。」

(現代語訳)

戦争の上手な者は、敵の兵隊を屈服させても激しい戦闘はしない。敵の城を陥落させても力任せに攻めない。敵国を滅ぼしても、長期戦での結果ではない。必ず敵国の兵力や国力を維持させたままで勝利する。そのために軍隊は疲弊せず、利益を獲得できる。これが勝利の方法である。

(解説)

孫子曰く、相手が疲弊するまで叩かないということだ。相手を疲弊するまで戦うということはこちら側も相当疲弊する。お互いにとって良いことはない。

さて、これをビジネスで字義通りに例えることはできなくはないが、あえて別の視点で考えてみる。満足度というものは逓減する。お腹がすいているときの一杯目のカレーは旨い。二杯目のカレーもいける。三杯目になるとお腹いっぱいかなと思えてくる。四杯目になるともう食べられないし、飽きてくる。こういうものを満足度逓減の法則と呼ぶ。

会社の方針で、どうしても決算期に多くの売上を達成しようと、キャンペーンを行って、お客の購入頻度を高めようとするときがある。それも度を過ぎると、飽きてくる。しばらく、その店の〇〇と言う商品は食べたくなくなってくることがある。別に会社のキャンペーンどころか、なんとなく色々な店の牛丼ばかりを食べると、しばらく牛丼を観るのも嫌だとなってくるときがある。毎日食べるとどうしても飽きてくるのだ。それでも数日後か、数週間後かには、また食べたくなってくることもあるのだが、しばらくはいらなくなる。

別に食べ物だけでもない。ある会社のあるサービスを利用して、満足してしまうと、次に利用しようという気持ちにならないことがある。また、あるサービスを利用したいと思わせるためには、ものすごくいいサービスであったが、満足しきっていない状態、つまり心の飢餓感を感じさせておくとよい。必ず1回だけでは満足させないのも手だ。例えばマッサージも、完全に体が軽くなってしまっては(そういうことはありえないが)、つまり完治してはいけない。完治しないからこそまた来ようという気になるのだ。満足なのだが、満足でない。商材によっては難しいが、また利用させるには飢餓感を与えておくのが良いのだ。

[教訓]

〇一般消費者には心の飢餓感を与えておくと、もう一度利用したいと思わせる。

〇満足させすぎるのも決して良いことではない。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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