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スタッフのモチベーションの高め方

孫子に学ぶ、「勝つべからざる者は、守なり。勝つべき者は、攻なり。守は即ち足らざればなり、攻は即ち余り有ればなり。善く守る者は九地の下に蔵れ、善く攻むる者は九天の上に動く。故に能く自ら保ちて勝ちを全うするなり。」

(現代語訳)

敵がこちらに勝てない態勢を作り上げるのは、自分たちの守備に関わることだ。自分たちが敵に勝つ態勢を作り上げるのは、自分たちの攻撃に関わることだ。守備を優先するときは兵力が不足しているとき、攻撃を優先するときは兵力が余裕のある時である。守備の上手い軍隊はあらゆる地形を利用し隠れ、攻撃の上手い軍隊は天空をかけているかのように動く。そのため、自分たちの姿を敵にさらすことなく保持して、勝利することができる。

(解説)

戦いでは兵力が不足しているときには守備を優先し、兵力に余裕があるときには攻撃を優先しろと言う。ここでの兵力は、今のビジネスに例えれば、資金であって、従業員の数と言うよりはむしろモチベーションであると言えよう。資金があるときには、広告宣伝費をかけることができるし、大量に生産体制を整えるために、設備投資もできる。いわゆる積極的に攻撃が可能だ。そしてもう一つ必要なのは従業員が、攻撃態勢にあるかどうかということ。

当然、従業員の気持ちが自然に高まるということはないし、その自主性を重んじていても誰も動こうとは思わない。従業員にとっては、動いたら仕事が増えて損なのだ。だから、モチベーションは経営者の方で積極的に高めていかなければならない。まずはその気にさせるのだ。社内で新製品発表会をやったり、壮行会をやってみる。その新製品が従業員がワクワクするものでなければならない。社長だけが自分はアイデアマンだからと盛り上がっていても仕方ないのだ。案外、従業員は白けていると思った方がいい。その商品あるいはサービスを顧客に提供することで、従業員が良かった、誇らしいと思えるようなサービスを会社全体で考えていこう。

従業員が攻撃するモチベーションがない場合、売るべき新製品も、提供できる新サービスもない状況だが、そういうときには、待ちの態勢が必要だ。既存の商品で新しいキャンペーンを張ることも検討が必要かもしれない。いつもダラダラと無駄に動いていては、気力体力を無駄に消耗させるだけだ。大した結果も出ないのに気力など続こうはずもない。勝負は一気にかけるべき。そのためにも気力体力は温存し、守備の態勢を固めておくのが良い。

守備の時間をモチベーションの熟成のためにうまく使う。無駄なコストをかけずに勝負をかけるための内部留保を蓄積する。攻撃するときは、今まで蓄積してきたエネルギーを一挙に開放する。電光石火に動けば、競合も自社の動きを知ることができずに戸惑う。

また、いつの間にか我々の製品やサービスが、顧客の目の前に自然にある状態が我々にとって望ましい。顧客の気づかずうちに、忍び込むのだ。そのためにもスピーディーにスムーズに動くことが必要。

[教訓]

〇ビジネスにとっての守備は、従業員のモチベーション熟成期間である。

〇モチベーションを高めるのは経営者の仕事。

〇攻撃するときには、電光石火のごとく、一気呵成に動け。競合に顧客を悟られないために。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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