孫子に学ぶ、「彼を知り己を知れば、百戦して殆からず。彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば、戦うごとに必ず殆し。」
(現代語訳)
敵の実情を知り、自軍の実態を知れば、何度戦っても危ういことはない。敵の実情を十分に知ることができないが、自軍の実態がわかっていれば、勝ったり負けたりであろう。そして敵のことも味方のこともわからないような場合には、戦うたびに危険にさらされることになる。
(解説)
相手のこともわかり、自分のこともわかっていれば負けない。相手のことはわからないが、とりあえず自分のことはわかっていれば、勝つこともあるし負けることもあるだろう。相手のことも自分のこともわからなければ、負けっぱなしだ。非常にわかりやすく常識的なのだが、果たして、これらを実践に移せているのかと言うとはなはだ疑問な奴も多い。
相手のこともだが、そもそも自分のことを知らない経営者が多すぎる。相手を知る前に、まずは自分のことを良く知った方がいい。ここで自分とは本人の能力や性格であり、自社の強みや弱みのことを言う。
本人の能力は多くの人が自信過剰にあるか、もしくは自信がない。後者の場合には起業しないだろうから、誰も被害は受けない。前者の場合は起業して周囲の人が困ることがある。根拠がない自信は、人に迷惑をかけるのだ。根拠がなく上手くいくと思っているから、細かな分析をしない。根拠がないわけだから、自分の分析すらしていない。他人の分析なんてもっとしない。自分の性格によって、仕事を円滑に進ませないことがある。
自分の能力とは、今までやってきたことの棚卸である。ここはひとつ転職するつもりで職務経歴書を書いてみると、何ができて何ができないかがわかる。自分の性格も重要だ。それによって強みや弱みがわかる。必ずしもではないが、能力が強みになり、性格が弱みになることがある。例えば、考えすぎて、行動に中々移せないのは、ビジネス上の弱みと言ってよいだろう。あるいは一つの物事をやりすぎてしまう。これは仕事のスピードを遅くしてしまう。しかしその弱みを知ることによって、どうやって対処すれば欠点を修正できるかを考えることができる。弱みを知らなければ決して改善できない。
相手を知るよりも、まず自分を知る重要性は、自分を知っていれば、相手と何が違うのかが明確になる。その違いが差別化になる。そしてその差別化をアピールすることで競合とは別のお客を獲得できる。
また、相手とは顧客のことでもある。顧客のニーズと、欲しいサービスのタイミングを知れば、どんな商品だって売れるに違いない。
顧客のことを良く知り、自分の強みを知っていれば、何度販売しても売れないなんてことはないと言えるだろう。お客のことを知らず、自分の強みもわからなければ、そのサービスは売れないのだ。
[教訓]
〇お客のニーズを良く知り、自社サービスの強みを理解していれば、売れる。
〇お客のニーズもわからず、自社サービスの強みがわからなければ売れない。