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ダメなときの損切の重要性

孫子に学ぶ、「兵は拙速なるを聞くも、未だ巧久なるをみざるなり。夫れ兵久しくして国利する者は、未だ之有らざるなり。故に用兵の害を知るを尽くさざる者は、即ち用兵の利を知るを尽くすこと能わざるなり。」

(現代語訳)

戦争では早く切り上げることはあるが、ぐずぐずしてよいことはない。長期戦が国家に利益をもたらすことは決してあり得ない。軍隊の運用による損害を知っている者でなければ、軍隊によってもたらされる利益を知り尽くすこともできない。

(解説)

ビジネスはどうしてもやってみないと分からないことも多い。いくら顧客ニーズがあると言ったところで、サービスの仕方によっては、そのニーズをがっちりと捕まえられないこともある。そうするとサービスの提供の仕方や、アピールポイントを次から次へと微修正し続けて、一番顧客ニーズに合致し続けるポイントを見つけなければならない。ときには顧客ニーズがあると思って始めたが、反応も悪い場合だってある。ビジネスには試行錯誤は不可欠だ。

例えば、証券投資であれば、いつまでも損切をせずに、評価損を抱えて、どんどん評価損が増えていき、資金の無駄遣いになっているケースがある。こういった場合には最初に自分で損切りルールを決めて、ダメならば損を確定させて、その資金を新しく投下した方が良い。仮にその後で相場が回復したとしても、損切ルールをその時々の状況で変化させていては、上手くいかずに終わる。

上記の例は、損切ルールを持たない。つまり信念がないケースだが、証券投資の例以外でも、ダメだと思ったとしても、意味不明な信念を持ち続けていると不幸でしかない場合がある。長期戦で会社に利益をもたらすことはない。会社の関係者は、そのくだらない経営者の馬鹿らしい信念に巻き込まれ、その夢に付き合わされて、関わっている自分自身の資金が底をつくことがある(最悪、給与未払等)。人のくだらない夢に付き合っていて、得をすることは永遠にない。そういった意味でもパートナーや経営者との縁の損切も不可欠と言える。

事業というものは売上を上げて、そのために投資や費用をかけて、取引先や従業員に給料を払い、最終的には利益を上げるというプロセスを経る。事業をやったことのない人には、これがわからない。資金調達をして、それを使い果たして喜んでいるバカも少なくはない。そういう輩がしていることを会社ごっこと呼んでいるが、事業による費用(痛み)を知っている者でなければ、事業による利益を上げることができない。生活ができない苦しみを味わった者でなければ、利益を上げる癖が身につくわけがない。何というかお坊ちゃん経営者(親が金持ちでお金の苦労をしたことがない)は事業はできない。お坊ちゃんではなくて、帝王学を身につけた経営者はまた別だが、お金に苦労してなさそうな人は経営者としてついて行ってはいけないし、仕事上のパートナーにしてもいけない。お坊ちゃんが本当にお金に困らず、こちらにも提供してくれるなら話は別だが、あまりそのようなラッキーは起こらないと思った方がいい。

[教訓]

〇ダメなときは損切れ。

〇お金に苦労してなさそうなお坊ちゃんとは仕事をするな。但し、そのお坊ちゃんが潤沢にお金を提供してくれるなら話は別。

〇損切する相手はビジネスだけではない、人間も含む。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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