孫子に学ぶ、「故に善く戦う者は、これを勢に求めて、人に責めず。」
(現代語訳)
上手に戦う者は、組織としての軍隊の勢いで勝つのであり、特定の人物の力量によって勝つのではない。
(解説)
有能な指揮官は、戦場の流れの中で勝機を見出し、部下個人に責任を負わせることがない、ということだ。集団のパワーで競合に打ち勝ち、さらには顧客のハートもつかむ。
小さな企業と比較して大企業が凄いと思うのは、人海戦術と物量戦術であり、一糸乱れず組織としてシステマティックに行動しているということである。ペットボトル飲料を販売するのに、テレビのCMを流し、そのCMには人気タレントを活用し、イメージを高める。コンビニやその他小売店、ツイッター等のSNSを活用し、これでもかとキャンペーンを仕掛ける。リアルとウェブのフル活用だ。広告宣伝だけではなく、工場をフル稼働し、商品が店頭に並ぶように品切れを起こさないように店頭に届ける。まさに集団のパワーを感じるし、イメージ戦略がどれだけ我々のハートを掴んでいるのか。
たまにツイッターでのツイートミスがあったりはするが、始末書くらいで済む。決して部下個人に責任を押し付けることはしない。到底、小さな企業は大企業と同じ土俵で戦うことはできやしない。
さて、孫子の言葉を見ると、リーダーシップが何たるかを知ることができる。しかも有能なリーダーとは、マーケットの流れを見通して、勝機を感じ、組織のエネルギーをぶつけ、決して個人に責任を負わせない人物ということになる。
急速に成長している企業の社長は、まずマーケットをよく見ている。大きな波が来たら飛び乗る準備も怠っていない。逆に成長せず、そもそも事業すら始める気もない企業の社長はマネーしか見ていない。資金調達できたら始めますよ、と非常にのんびりしている。こういう人は大きな波が来ても飛び乗れずに、波にさらわれておぼれる。そしてライフセーバーに助けてもらう気満々なのだ。
また上手くいかない社長は、何か問題が起きたら、必ず人のせいにする。あるいは外部のせいにする。誰々が何々してくれないからだ。あいつがポカしやがった。その前に何もしないのも、ポカする人選したのも、その社長だということを忘れてはならない。会社で問題が起きたときは、全て社長の責任。手柄は部下のおかげ。そう思える社長のいる会社のみが成長軌道を描いて行けるのだ。何故ならば集団のパワーの活用の仕方を知っているからだ。個人プレーに走っていてはいつまでたっても上手くいきはしない。どんなに個人が頑張っても集団の力には敵わない。
[教訓]
〇有能なリーダーとは、マーケットの流れを見通して、勝機を感じ、組織のエネルギーをぶつけ、決して個人に責任を負わせない人物。
〇有能なリーダーは、集団のパワーの活用の仕方を知っている。
〇個人がいくら頑張っても、集団のパワーには敵わない。