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意思決定は感情ではいけない。勘定で決めろ。

主は怒りを以て師を興すべからず、将は慍みを以て戦いを致すべからず。利に合えば動き、利に合わざれば止まる。怒りは以て復た喜ぶべく、慍みは以て復た悦ぶべきも、亡国は以て復た存すべからず、死者は以て復た生くべからず。故に明君は之を慎み、良将は之を警しむ。

此れ国を安んじ軍を全うするの道なり。

(現代語訳)

君主が怒りに任せて開戦を命じたり、将軍が個人的な恨みに報いるために戦ってはならない。要するに利益にかなえば発動し、利益に合わなければ中止する。怒りはいつか喜びに転じ、恨みもいつか楽しみに変わることはあるが、滅亡した国家は再興できず、死者は二度と蘇らない。だから優れた君主はこのことを慎み、優れた将軍はこのことを戒める。これが国家を安泰にし、軍団を保全する方法である。

(解説)

感情的になり、冷静さを欠く人間はリーダーとして失格だ。感情的になった時点で、客観的な判断ができなくなる。特に戦争ともなれば、近親者を殺された恨みで、恨むべきでない人を恨み、それに固執し、無駄に兵力を毀損しては国力を奪う。三国志時代の蜀の劉備のように、関羽を殺された恨みで、呉に無謀な戦いを挑み、陸遜の火計に会い、気落ちして自らは白帝城でこの世を去った。どれだけ多くの兵士を無駄死にさせ、どれだけ魏への北伐が遅れたことだろう(死者が1万、あるいは8万人という書物もある)。

今のリーダーでも好き嫌いで物事を見る傾向を持った人がいる。ビジネスは好き嫌いも重要だが、それ以上に儲かるか儲からないかで見るべきだ。たまたま好きなことが儲からないことで、嫌いなことが儲かることだったらどうする。実はビジネスにはこんなことばかりなのだ。この人は気が合うからと付き合い、この人は気が合わないからと付き合わない。しかし気が合わない人の方がお金を払ってくれるとしたらどうする。当然気が合わないと永続的な関係は続かない。だから継続課金が必要なビジネスでは、気が合う顧客との方が連絡が密になり、長続きする。客を選ぶのは儲かってからにすればよい。儲からないうちに客を選んでも始まらない。そもそも、ビジネスしたての頃は、客から選ばれる資格があるのかをまずは問わないといけない。だから感情ではなく、勘定で決める必要がある。

感情論に固執しては身を滅ぼす。それ以上に、自分たちはいったい何がしたいのかを改めて自問自答すべきだ。その目標を決めたら、あとはひたすら、目標を数字に置く。その数字を達成した後で、好き嫌いは問えばいい。まずは感情を押し殺して、収益の上がる、きちんとしたビジネスサイクルを作ることが、リーダーの務めと言える。

[教訓]

〇意思決定は感情ではいけない。勘定で決めろ。

〇リーダーは数字の目標に忠実であるべきだ。自分の感情に忠実であってはならない。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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