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商品のメリットの効果的な伝え方

孫子に学ぶ、「故に善く敵を動かす者は、之に形すれば、敵必ず之に従い、之に予うれば、敵必ず之を取る。利を以て之を動かし、卒を以て之を待つ。」

(現代語訳)

戦いの主導権を握って、敵を巧みに誘導する者は、具体的な形を敵に示すと、敵は必ずそれにつられて動き出す。また利を敵にちらつかせると、敵はそれに食らいついてくる。利益を見せて敵を誘導し、伏兵によって敵を待ち構えるのである。

(解説)

ここで形や利を敵に見せろというのは、将軍を囮にして、敵を城から外へ誘い出し、攻撃地点へ誘導せよということだ。そして伏兵を配置して、敵を一気にせん滅することができる。

ビジネスにおいて、形や利を見せるべきは、顧客であろう。自社のサービス(形)を顧客に提示し、そのメリット(利)を伝える。優秀な営業マンは、あくまでも自分のシナリオ通りに顧客を誘導するのが上手い。形と言っても、事業者側にとっての商品の良さだけを潜在顧客に伝えても、顧客は反応しない。単なる売り込み営業では伏兵の地点まで呼び寄せる前に玉砕してしまう。

実は形と利とはセットなのだ。商品の良さよりも「分かりやすさや選びやすさ」を前面に押し出して、さらに顧客がその商品やサービスを購入することで、それが生活や事業の何を豊かにするのかを実感させるように努めよう。メリットについても、購入後の顧客のバラ色の環境を想像させるのである。営業が心得なければならないのは、お客に売るべきは、こちらの商品やサービスではない。あくまでも顧客の満足度を売るのである。

顧客にとって、こちらが売りたいと思っている商品やサービスが、顧客にとってどのような価値を持っているかを示すのだ。お客にとっての現状(問題点)、問題点を改善するための方法(当社のスキーム)、そして問題点を改善した後どのようなメリットがあるか(ゴール)をストーリー立てて説明する。

伏兵とは殺し文句だ。そこまで言われるとは思わなかった。意表を突かれた。ものすごくいいような気がするなど、商材や相手によってその殺し文句とは多種多様だ。例えば、銀行や証券会社が、毎月分配型の投資信託を販売するときの、一般的なセールストークは「毎月お小遣いが受け取れますよ」というものだった。半分くらいの人が元本を毀損している商品なのだが、確かに嘘は言っていない。自分が積んだお金の一定量が金融機関の手数料になり、投資が損をして、自分が積んだお金が毎月、通帳に振り込まれてくるのだから。

[教訓]

〇形や利を顧客に示せ。

〇最後は殺し文句だ(伏兵)。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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