故に戦いの地を知り、戦いの日を知れば、則千里にして会戦すべし。
(現代語訳)
戦いの場所を知り、戦いの日時を知るならば。千里も離れた遠い所であっても合戦すべきである。
(解説)
戦いの地は、以前はスパイ(用間)を用いて、敵の進軍するエリアがどこか、そしてそこに進軍するのはいつかを想定し、伏兵を張ることができれば、相手に打撃を加えることができる。また、敵の進軍よりも先に、自軍が要所を抑えることも可能となる。要所を抑えるのが戦のポイントであるならば、敵が進軍する前に抑えてしまえば、その要所を奪い合う戦は起きない。但し、こちらが城を構えて、敵が攻撃してくる可能性はある。とはいえ、野戦よりも攻城戦の方が、相手の消耗は大きくなる。そのため、戦いの地と戦いの日が予め知ることができるのであれば、どんなにその地が遠かったとしても、こちらが有利な戦いができる以上、戦った方がいいと説いているのである。
さて、これを現代流に解釈すれば、戦いの地とはマーケットであろう。戦いの日とはタイミングとなる。マーケットを熟知し、適切なタイミングを計ることができるならば、新規事業であってもどんどんトライすべきであるということができる。
当然のことながら、マーケットがわからなければ、新規事業を行ってはいけないし、タイミングがわからない場合も同様である。闇雲に事業をすればいいというものではない。
起業家は自分がやりたい仕事をやれば、そこにマーケットが生まれると思っている人が少なからずいる。運良くマーケットがある場合はあるが、顧客のシーズをニーズに変えるのは至難の業である。一般的に顧客の潜在ニーズは、顧客自体知らないことが多い。通常は顧客のニーズを捉えるべきである。そして、どのようにアプローチすれば、マネタイズができるのか、その手法もわかることがマーケットを知るということである。
当然、マーケットへの参入タイミングもある。既存の企業が大当たりしているときに後から参入しようと思っても、競合もまた多いから価格勝負になってしまい、思った以上にもうからないことになる。できる限り早期にそのマーケットを抑え、そこでのブランドイメージを顧客に植え付けることが重要である。
[教訓]
〇マーケットとタイミングを知ることができれば、新規事業でも積極的に算入すべきである。
〇マーケットを知るということは、顧客ニーズを捉えるだけでなく、顧客への売り方、マネタイズの仕方も熟知しているということだ。
〇市場が飽和する前に参入し、ブランドイメージを獲得せよ。