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不正競争防止法の営業秘密とは

間事未だ発せざるに而も先ず聞こゆれば、間と告ぐる所の者と皆死す。

 

(現代語訳)

間諜の入手した情報がまだ自軍の中枢部に発表されないうちに、他の筋から先に情報が漏れてきた場合には、その間諜と間諜の情報を伝達してきた者とを死罪にする。

 

(解説)

スパイに対しては最大の報酬を与える一方で、情報漏洩に対しては厳罰を与える必要がある。

 

さて、産業スパイの手口は様々だが、従業員としてターゲット企業に転職し、社内情報にアクセスできる状況を作り出し、不正に情報を持ち出すのだ。あるいは業務を通じて企業やノウハウを得たうえで、本命の企業に転職するケースもあるという。

 

海外の例だが、受託で調査やコンサルティングを行っている会社の中で、不適切な手段による情報収集を行い、従業員を買収して情報を入手されたり、不正な方法で施設内に侵入したり、システムへの不正アクセスを行ったりする方法もあるようだ。海外の調査会社の中には、このような感覚で産業スパイ行為を行っているケースも少なからずあることは注意しておきたい。

 

産業スパイには、情報を自分で使いたいと考える「囲い込み型」と、情報を売りたいと考える「流出型」がある。流出経路は、内部の従業員が外部者と共謀の上というのが多い。もう一つは中途退職者であり、今の会社では自分のスキルが認められず、外国企業から甘い言葉をかけられると、その誘いに乗ってしまい協力してしまうということもあるようだ。また、近年では、ネット経由でウィルスの入ったファイルをメールで送り、ウィルス経由で情報を入手することも行われている。

 

産業スパイから会社を守るためには、

  • 従業員の管理
  • 機密情報の管理者を複数人設置
  • ID、パスワードの設定
  • セキュリティのアップデートを行い、サイバー攻撃への対応と行う

と、以上のような方法が考えられる。

 

厳罰と言っても法治国家では、自力救済は禁止されており、国家の法制度に委ねるしかない。産業スパイを取り締まる法律には、不正競争防止法がある。ここで営業秘密と言われるためには、以下の3要件が必要と言える。

  • 秘密管理性(秘密として管理された情報であること)
  • 有用性(有用な営業上又は技術上の情報であること)
  • 非公知性(公然と知られていないこと)

 

パスワードが全社共通であったり、機密性がないと扱われてしまうと営業機密としては認められなくなるので、以上の3要件に合致するように注意しなければならない。国家に厳罰に処してもらうために。

 

[教訓]

〇不正競争防止法の営業秘密に合致するように、機密情報は徹底的に管理せよ。

 

 

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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