夫れ戦勝攻取して、其の功を修めざる者は凶なり。命づけて費留と曰う。故に曰く、明主は之れを慮り、良将は之を修め、利に非ざれば動かず、得に非ざれば用いず、危に非ざれば戦わず。
(現代語訳)
戦闘に勝利して利益を収めながら、いつまでも惰性で戦闘状態を続け、論功行賞や戦後処理を適切に行わないのはよくない。これを「費留」という。だから次のように言われている。優れた君主はよく考え、優れた将軍は手短に切り上げる。こちらの利益にならないのであれば決して軍を動かさず、こちらの得にならない用兵は行わず、こちらの危機を回避する場合にのみ戦争に踏み切る。
(解説)
会社は利益を上げているのに、内部留保に執着し、分配しないのも考えモノだ。稼ごうという気力を失う。部下はどうせ報酬にはならないと思ったら、気持ちがこもった協力はできやしない。給料分は働いたぜ、あばよの気分だ。
これからの会社は、全てとは言えないが、プロジェクトベースとその成果で給料が決められるようになるであろう。年功序列ではなくなり、プロジェクトの予算決めを行い、人件費の割合を決めて、成果が上がれば、その成果分の一部をボーナスとして受け取る仕組みだ。人件費の割合が決まるということは、その中で分捕り合戦をしなければならないから、そのプロジェクトに関わる人員が少なければ少ないほどいい。この方が会社に対して、人手が足りないなんて泣き言を言う奴が減るだろう。人が少なければ自分の取り分が多くなるのだから。当然、最低限の生活はしなければならないから、基本給はある程度確保しつつ、業績給が多くなる報酬制度だ。
物事をダラダラ続けるのもよくない。サッサと結果を出してパッパと部下を含めた関係者に分配を済ませ、次のビジネスに取り掛かれ。当たり前のことだが、ちっとも結果が出ないのにずっと同じことを繰り返していたら、ただの馬鹿だ。そういうときには人に仕事を依頼してはならない。つまり「得にならない用兵は行わない」のが基本だ。
優れたリーダーは見極めが早い。これは行けると思ったら、グッとギアを入れる。そしてこはダメだと思ったら、サッサと手を引く。何年もダメなことを追いかけていても時間の無駄だと気づかない時点で終わっている。人間お金の無駄よりも時間の無駄の方が大きな損失なのだ。人間は一生の時間が人それぞれで決まっている。お金は稼ごうと思えば稼げる。だからお金は無駄に使っても取り返せるが、時間は無駄に使ったら取り返せない。
[教訓]
〇利益を上げたら、分配を考えよ。次のプロジェクトでのモチベーションになる。
〇お金の無駄遣いは取り返せる。しかし時間の無駄遣いは取り返せない。
〇優秀なリーダーは見極めが速い。ダラダラと結果の出ないことをやり続けてはいない。