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成功者はどこに目を付けて儲けるのか

其の必ず赴くところに出で、其の意わざるところに赴く。千里をゆきて労ざる者は、無人の地を行けばなり。攻めて必ず取る者は、其の守らざる所を攻むればなり。守りて必ず固なる者は、その攻めざる所を守ればなり。故に善く攻むる者には、敵其の守る所を知らず、善く守る者には、敵其の攻むる所を知らず。微なるかな微なるかな、無形に至る。神なるかな神なるかな、無声に至る。故に能く敵の司命を為す。

(現代語訳)

敵が必ず進出してくる場所に迎撃態勢を敷いて待ち構え、敵が思いもしないと頃に進出する。千里の行程を進軍して疲れないのは、事前の索敵行動により、敵に遭遇せず、無人の野を進めるからである。攻撃して必ず勝利を得られるのは、敵の守りの薄いところを攻撃するからである。守備が固いのは敵の攻撃できないところを守るからである。上手く攻撃する軍隊は、敵もそれに対応して守備陣形を取ることができず、上手く守備する軍隊は、敵も打つ手がない。何と微妙なことか。形無き軍隊というものは。何と神妙なことか。声なき軍隊というものは。だからこそ、敵の死命を制することができるのだ。

(解説)

敵国を攻めるときに、敵に知られずに大人数の兵隊を行軍させるのは容易ではない。いつ伏兵に攻められるかもわからないし、戦地に赴く前に多くの兵士が命を落とすこともある。それゆえ、千里の行程を進軍して、兵士に疲れさせないためには、スパイを活用して、敵に行軍を悟らせないようにすることが大切という。

無人の野を行くのがよい。これは現代のビジネスで考えると、敵が少ない、あるいはいない場所で商売をしろともいえる。敵がいないということはマーケットがないことかもしれないので注意が必要だが、競合はいないが顧客はいるという無人の野を見つけられれば、それほど良いことはない。

次に、敵の守りの薄いところを攻撃すれば勝てるし、敵が攻撃できないところであれば自身の守備が固いという。

この点に関しては、自社の強みが相手の真似のできないところであるかどうか、逆に自分たちの弱みが競合からは付け込まれないかどうか、ということになろう。

そして、無形と無声の軍隊。敵からは自分たちが見えない。どうやって自分たちのサービスが売れているのかわからない。それこそノウハウというものであろう。ホームページによるお客へのアピールが当たり前になっていると、敵にも自社の手の内をある程度見せることになる。そうなるとサービスが横並びとなる。ある程度は顧客に知らせ、来客者のみに我々のサービスのメリットを伝えるのが定石だろう。お客との接点を確保したところで、我々の強みを見せれば、競合他社にはわからない。中には顧客の不利をして情報収集してくる輩もいるが、本当の顧客にならなければわからないとなれば、恐れるに足らずだ。ネットビジネスも、人と会うことを前提とすれば、無人の野がそこに広がる。

[教訓]

〇客が多くて、競合の少ない理想郷を見つけ出せ。

〇自社の強みが他社の攻撃できないところか、自社の弱みが他社から付け込まれないところかを確認して、改善せよ。

〇人に会うことを前提とすれば、ネットビジネスにも競合のいない無人の野が広がる。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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