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自分たちの戦略を立てる前にすべきこととは

孫子曰く、兵を用いるの法に、散地有り、軽地有り、争地有り、交地有り、衢地有り、重地有り、圮地有り、囲地有り、死地有り。

(現代語訳)

孫子が言うには、軍隊運用法則として以下の九地がある。そしてこの地での戦いはそれぞれ注意が必要である。

  • 散地:自軍の兵士が離脱し、たやすく郷里へ帰れる場所

⇒兵士は必死の覚悟をしない。

  • 軽地:国境を超えて敵の領地に少しふみこんだ場所

⇒兵士は国境を越えたところで浮足立つため、踏みとどまってはならない。

  • 争地:奪えば戦略拠点となる有利な場所

⇒このような土地には先に到達すべき。先に奪われたなら安易に戦いを挑んではならない。

  • 交地:往来に都合の良い場所

⇒こちらの進軍に便利だが、敵も同じ。部隊は一段となって進み、途切れないように。

  • 衢地:諸侯の国々が続いているような場所

⇒諸侯と外交関係を結ぶことのできる要衝の地。

  • 重地:重要な地。敵の領内深くにある場所

⇒自軍の領内から遠いため、食料を現地調達しなければならない。

  • 圮地:山林、沼沢等行軍が困難な場所

⇒とどまらず速やかに通り過ぎ去ること。

  • 囲地:侵入するには狭く引き返すには曲がりくねっている場所

⇒敵に囲まれる可能性が高いため、早期に脱出を図り、逆に仕掛けるべき。

  • 死地:必死に戦わないと軍が全滅する危険な場所

⇒背水の陣等、存亡をかけて激闘する必要がある。

(解説)

今、自社がどのような状況に置かれているかを思いめぐらす必要がある。上記によれば、避けるべき場所としては、兵士が必死にならない場所、一生懸命にならない場所、移動が困難な場所、敵から攻められる場所。望ましい場所としては、移動がしやすい場所といえる。

従業員が必死にならない場所があるとすれば、会社の位置取りではなく、会社の報酬制度であろう。実績を上げても給料が上がらないような場合である。逆に生きるか死ぬかのような競争の激しい場所を会社が選ぶのもよくない。あまりに職場環境がブラックすぎれば離職者が増える。

上記の「争地」という、いわゆる戦略拠点上有利な場所というのが、ポジショニング分析による、空白地帯といったところか。また「衢地」は事業提携のしやすい事業であったり、顧客へのアクセスが容易なサービスと言えるだろう。そして「交地」は自分たちも進みやすいから、競合相手も進みやすい場所であるから、競合相手と戦う場合には一糸乱れぬ組織力が不可欠というところだ。

いずれにせよ、企業としての戦略を固めるために、自社の置かれている状況をまずは把握しなければならない。

[教訓]

〇スタッフのやる気をそがない制度を構築せよ。

〇競争の激しすぎる場所で勝負するのはやめておけ。

〇戦略を固めるために自社の状況を把握せよ。

〇自社の状況がわかれば対処法も決まる。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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