孫子曰く、兵を用いるの法に、散地有り、軽地有り、争地有り、交地有り、衢地有り、重地有り、圮地有り、囲地有り、死地有り。
(現代語訳)
孫子が言うには、軍隊運用法則として以下の九地がある。そしてこの地での戦いはそれぞれ注意が必要である。
⇒兵士は必死の覚悟をしない。
⇒兵士は国境を越えたところで浮足立つため、踏みとどまってはならない。
⇒このような土地には先に到達すべき。先に奪われたなら安易に戦いを挑んではならない。
⇒こちらの進軍に便利だが、敵も同じ。部隊は一段となって進み、途切れないように。
⇒諸侯と外交関係を結ぶことのできる要衝の地。
⇒自軍の領内から遠いため、食料を現地調達しなければならない。
⇒とどまらず速やかに通り過ぎ去ること。
⇒敵に囲まれる可能性が高いため、早期に脱出を図り、逆に仕掛けるべき。
⇒背水の陣等、存亡をかけて激闘する必要がある。
(解説)
今、自社がどのような状況に置かれているかを思いめぐらす必要がある。上記によれば、避けるべき場所としては、兵士が必死にならない場所、一生懸命にならない場所、移動が困難な場所、敵から攻められる場所。望ましい場所としては、移動がしやすい場所といえる。
従業員が必死にならない場所があるとすれば、会社の位置取りではなく、会社の報酬制度であろう。実績を上げても給料が上がらないような場合である。逆に生きるか死ぬかのような競争の激しい場所を会社が選ぶのもよくない。あまりに職場環境がブラックすぎれば離職者が増える。
上記の「争地」という、いわゆる戦略拠点上有利な場所というのが、ポジショニング分析による、空白地帯といったところか。また「衢地」は事業提携のしやすい事業であったり、顧客へのアクセスが容易なサービスと言えるだろう。そして「交地」は自分たちも進みやすいから、競合相手も進みやすい場所であるから、競合相手と戦う場合には一糸乱れぬ組織力が不可欠というところだ。
いずれにせよ、企業としての戦略を固めるために、自社の置かれている状況をまずは把握しなければならない。
[教訓]
〇スタッフのやる気をそがない制度を構築せよ。
〇競争の激しすぎる場所で勝負するのはやめておけ。
〇戦略を固めるために自社の状況を把握せよ。
〇自社の状況がわかれば対処法も決まる。