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ビジネスにも乗ってるときと乗らないときのリズムが大切

九地の便を知らざれば、九変の道を知らず。天の陰陽、地の形名、人の腹心、この三者を知らば、その功を獲処す。その士を知るは即ちその敵を知るなり。その士を知らざればその敵を知らず。その敵を知らざれば、戦うごとに必ず殆し。故に軍の撃つところ、必ず先に殆その左右士卒の心を知る。

(現代語訳)
戦いには、戦場となる土地の状況に応じた戦い方がある。戦場の状況を九つに分類することができる。これを「九地」という。「九地」にはそれぞれふさわしい戦い方がある。これを「九変」という。戦いに臨んで「九地」の別をここを得ておかないと、「九変」いわゆる攻撃の九原則を用いて勝利することができない。戦いに際しては、陰陽の巡り、地形の険阻、敵方の参謀について把握しておかなければならない。この三者を知ることで、勝利を治められる。敵方の参謀を知るということは、敵を知ることである。参謀を知らなければ、敵の戦い方がわからない。敵の戦い方がわからなければ勝利が見えてこない。従い、戦う前に相手の参謀について詳しい情報を入手しておくべきである。

(解説)
「九地」と「九変」は孫子の兵法に記載された概念であり、戦場を9つに分類し、それぞれに戦いの仕方があることを言っている。そして「陰陽の巡り」「地形の険阻」「敵方の参謀」の3つを把握する重要性を説く。

陰陽とは、森羅万象、宇宙のありとあらゆる事物をさまざまな観点から陰(いん)と陽(よう)の二つのカテゴリに分類する思想のことだが、人生も山あり谷あり、その山を陽とすると、谷が陰と表現できる。人生ずっと良いことばかりでもなく、ずっと悪いことばかりでもない。ビジネスも同じだ。必ずしも陽がいいこと、陰が悪いことという表現は正しくない。要するに二つに区分し、それが陽から陰へ、そして再び陽へ流れることに力点を置くべきだ。これをエネルギーという表現に変えれば、陽は上昇性、加熱性、発展性、文化性という外向きに作用するエネルギーを象徴し、陰は下降性、冷却性、調和性、統一性という内向きに作用するエネルギーを象徴している。そして陽がプラス、陰がマイナスと思いがちではあるが、二進法で例えれば、1が陽で0が陰ということもできる。今のコンピューターの基本原理はまさに陰と陽からなっていると言える。ビジネスの内部環境や外部環境が陽なのか陰なのかを把握することが重要である。陽の時は攻撃、陰の時は待機となろうか。ビジネスで上手く行かない理由を今、陰だからで片付けてはいけないが、そのように開き直ることがかえって上手く行く場合もある。最低でも気休めにはなるからだ。

地形の険阻はビジネス環境そのもののことである。店舗ビジネスであれば立地、その他ビジネスであればポジショニングと表現もできる。

敵方の参謀は、敵方の戦略そのものであって、競合他社の戦略を予想できれば、対処が容易になるという考え方である。

[教訓]
〇ビジネスにおいても「陰陽の巡り」「地形の険阻」「敵方の参謀」の3つを把握することが大切。
〇陽の時は攻撃、陰の時は守備に回れ。
〇何をやっても上手く行かないときは、その原因を探って対処することが最もやらなけらばならないことだが、動くとかえってひどい結果になることも多い。今はリズムが陰だと思って開き直ることもまた大切。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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