世界の歴史を題材とした起業家応援メディア

チームワークを作るのもリーダーの役割

食するに糧を稟けず、軍するに兵を省みず、賦賜、均しからず、親しむところに阿私す。その物にあらざるを取り、借貸、還さず。人の頭首を奪いて、以てその功を獲る。これ軍を盗むと謂う。軍を盗む者は斬る。
姓名を変改し、衣服鮮ならず、旌旗裂壊し、金鼓具わらず、兵刃磨かず、器仗堅ならず、矢、羽を著けず、弓弩絃なく、法令行われず。これ軍を欺くとし。軍を欺く者は斬る。
鼓を聞くも進まず、金を聞くも止まらず、旗を按すも伏さず、旗を挙ぐるも起たず。指揮するも随わず、前を避けて後ろに向かい、縦に発して行を乱し、その弓弩の勢を折り、郤退して闘わず、宜しく左しあるいは右し、傷を扶け死を挙げて、みずから託して帰る。これを軍に背くと謂う。軍に背く者は斬る。
軍を出だし将を行るに、士卒、先を争いて、紛々擾々とし、車騎あい連なり、路道を咽塞して、後、先んずるを得ず。呼喚すること諠譁にして、聴聞するところなし、行次を失乱し、兵刃中に痛み、長短理わず、上下縦横す。これ軍を乱すと謂う。軍を乱す者は斬る。
止まるところに屯営し、その郷里を問い、親近あい随い、共に食してあい保つ。次を超えるを得ざるに、彊いて他伍に入る。次第を干誤し、呵止すべからず、営を度りて出入りし、門戸に由らずして、自ら啓白もせず、姦邪起こるところ、知れども告げずして、罪、等を同一にす。人を合して酒を飲み、阿私して取受す。大言警語し、吏士を疑惑す。これ軍を誤らすと謂う。軍を誤らす者は斬る。
斬断の後、これ万事すなわち理まる。

(現代語訳)
(c) 盗む。
将校たる者が軍中において軍糧を食まず、兵の労苦にも思いを致さない。部下を差別待遇し、親しいものに依怙贔屓する。勝手に人の物を取り上げ、借りた物も返さない。人の挙げた手柄を横取りして自分のものとする。このような連中を「軍を盗む」という。こういう者は処断すべきである。
(d) 欺く。
勝手に姓名を変える。軍服が汚れている。旌旗がボロボロで、進軍、後退を指示する金鼓も備えていない。刀剣はなまくら。その他の武器も役に立たず。矢には羽がなく、弓には弦も張っていない。加えて軍令も守らず。このような者を「軍を欺く」という。こういう者は処断すべきである。
(e) 背く。
進軍太鼓を聞いても進まず。後退を命ずる金を聞いても踏みとどまらない。旗を降ろしても身を伏せず、旗を立てても身を起こさず、指揮に従わない。先頭を避けて後尾につきたがる。勝手な行動で隊列を身だし、士気に水を差す。逃げ腰で戦う気なく、右往左往するばかり。負傷者の救出、戦死者の収容にかこつけて、戦線を離脱する。このような者を「軍を背く」という。こういう者は処断すべきである。
(f) 乱す。
軍が出動して戦場へ赴くとき、将兵が互いに先頭争いをして、てんでんばらばらに行動する。車騎が道をうずめ、機動的な行動を妨げる。大声を上げて呼び交わしわめきあって命令を聞き取ることもできない。押し合いへし合い行軍の隊列を乱し、はては武器、装備を損傷させるに至る。上も下も、でたらめ勝手に動き回る。このような者を「軍を乱す」という。こういう者は処断すべきである。
(g) 誤らす。
駐屯地においては、同郷者を探し、親しい者同士が高まり合う。軍法を無視して、勝手に他の舞台に潜り込み、静止しても聞き入れようとしない。あちらの部隊、こちらの舞台と渡り歩き、しかも裏口から出入りして、その事実も申告もしない。犯罪の事実を知ってもかばい合い、集団で罪に連座する。仲間を集めて酒を飲み、互いに便宜を図り合う。大声で「敵だ!」などと喚き、警備の者を慌てさせる。このような者を「軍を誤らす」という。こういう者は処断すべきである。

以上のようなものを遮断すれば、全てが順調に回る。

(解説)
チームの和を乱す者はいる。なぜ和を乱すかには以下のような理由が考えられる。
(1) チームメンバーを信用していない。
不信感があるということだが、そのままにしておくと業務上のミスが発生し、最悪責任のなすり付けが始まってバラバラになってしまう。
(2) 与えられている役割に不満を持っている
自分の役割に不満を持っていると、チームを乱して不満を表現していることがある。今一度メンバーの個性や能力にそれぞれの仕事があっているかを確認してみると良い。
(3) チームで共有している目標に納得していない
この場合、チームに関わる意義を感じられていない。その目標が社会的意義に欠けている、あるいは実現不可能なことがある。今一度チームで共有すべきである。
(4) チーム内でなんらかのハラスメントが生じている
セクハラ、パワハラ等、気に入らないことがあると和を乱す動機がある。
(5) ストレスが溜まっている
チーム内というよりも家族関係や人間関係でストレスをためていることがある。また長時間労働もその原因となる。チームの和を乱す人間は、元からのキャラというよりも、置かれている現状に不満を持っている場合が多いので、上司はその不満を解消するように努力してみよう。
そこで、チームワークを乱す人に対して以下の対処法を試してみよう。
(a) 対話
先ずはチームワークを乱す人にヒアリングをして、解決するまで対話をする。
(b) 改善
チームワークを乱す人がチームに必要という場合には、チームの改善を試みる。評価体系の見直し、時間の短縮、目標の設定を試みてみる。
(c) 配置換え
どうしても問題が解決されないような場合には、チームから外すという対処策が考えられる。これは最終手段と言える。

チームの和を作り出すのもリーダーの責任だ。表面化するまで問題を放置したり、メンバーの気持ちを考慮せず上から押さえつける等せず、上記の対策を試みよう。

[教訓]
〇チームの和を乱す奴が問題だ、ではなく、何らかの不満を聞いて、できる限り改善してあげること。
〇チームの和を作り出すのもリーダーの仕事。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
SNSでフォローする