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リーダーはスタッフの気持ちを読み取れ

書に曰く、「君子を狎侮すれば、もって人心を尽くすなし。小人を狎侮すれば、もって人力を尽くすなし」。故に兵を行うの要は、勤めて英雄の心を攬り、賞罰の科を厳しくし、文武の道を総べ、剛柔の術を操り、礼楽を説びて詩書に敦く、仁義を先にして智勇を後にす、静かなること潜魚のごとく、うごくこと奔獺のごとく、その連なるところを喪ぼし、その彊きところを折り、耀かすに旌旗をもってし、戎しむるに金鼓ともってし、退くこと山の移るがごとく、進むこと風雨のごとく、崩るるを撃つこと摧くがごとく、戦いを合わすること虎のごとし、迫にしてこれを容れ、利にしてこれを誘い、乱にしてこれを取り、卑にしてこれを驕らしめ、親にしてこれを離し、彊にしてこれを弱む。危うき者あればこれを安んじ、懼るる者あればこれを悦ばし、叛く者あればこれを懐け、冤む者あればこれを申べ、彊き者あればこれを抑え、弱き者あればこれを扶け、謀る者あればこれに親しみ、讒る者あればこれを覆し、財を獲んとする者にはこれを与う。兵を倍してもって弱気を攻めず、衆を恃みて持って敵を軽んぜず、才に傲りてもって人に驕らず、寵をもって威を作さず、先に計りて後動き、勝ちを知りて初めて戦い、その財帛を得てみずから宝とせず、その子女を得て自ら使わず、将よくかくのごとくば、号を厳にし令を申べて、人、闘うを願い、すなわち兵合し刃接して人死するを楽しむ。

(現代語訳)
『書経』に「君子を侮れば、その心を捉えることができない。小人を侮れば、その力を尽くさせることができない」とある。

将軍は先ず、兵卒の心を掴み、賞罰のけじめを厳しくし、文武の道を兼ね備え、剛柔の術を会得し、礼節に親しみ、智勇よりも仁義を優先させなければならない。用兵については、軍を休める時には岩陰に潜む魚のようにじっとしており、一度動き出せば、獲物を狙うカワウソのように襲い掛かり、旗指物で勢いを示し、金鼓による号令の下で、敵を殲滅する。

交代するときは山が動くように整然と行動し、進撃するときには疾風のごとく、敗走する敵を追撃するときは雷の如く、敵と戦うときには虎のように行動する。強力な敵に対しては詭道を用いることを辞さない。敵が押してくれば後退し、低姿勢に出て油断させ、有利と見せて誘い出し、混乱させて撃破する。団結が固ければ離間を図り、強大であれば弱体化させる。

味方の将兵に対しても、きめ細やかな配慮を怠ってはならない。危険にさらされている者には救援を保証し、ビビっている者には士気を鼓舞する。反乱の恐れがある者は巧みに手なずけ、冤罪を主張する者には無実の罪をはらしてやる。血気に盛んな者には手綱を引き締め、女々しいものには勇気を奮い起させる。優れた計略の持ち主は側近に登用し、讒言する輩は追放する。また財産を欲しがる者には惜しまずに与える。また、以下の事も記しておく。
(a) 相手が弱くても、かさにかかって攻め立ててはいけない。
(b) 味方の強さを頼りにし、敵をなめてかかるな。
(c) 自分の才能を鼻にかけ、威張り散らすな。
(d) 君主の寵を恃んで尊大な態度をとるな。
(e) 万全な作戦を定めてから軍を動員し、勝つ見込みがつけば作戦行動を開始する。
(f) 敵の財宝や子女を入手しても独り占めしてはならない。

将軍が以上のような心構えで部下に当たれば、部下は進んで戦場へ行き、合戦になっても勇んで戦うであろう。

(解説)
リーダーは、スタッフの心を掴まなければならない。そしてきめ細やかに配慮をすること。例えば、仕事で悩んでいそうな場合にはサポートしてやり、不安を懐いていそうであれば、問題ない、バックアップしてやるからと言ってやる。上司だからとむやみに威張ってもいけない。賢さや度胸を自慢するのではなくて、部下に対しても礼儀を重んじる。無謀なことをやっているスタッフはブレーキをかけてやり、おとなしい人には、気合を前面に押し出すよう叱咤激励する。

[教訓]
〇リーダーたる者まずはスタッフの心を掴め。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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