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自分で実地で学ぶのが一番効率的だ

それ軍に習練なければ、百もて一に当たらず。習いてこれを用うれば、一もて百に当たるべし。故に仲尼曰く、「教えずして戦わしむ。これこれを棄つと謂う」。また曰く、「善人、民を教うること七年、またもって戎に即かしむべし」。しからば即ちこれを戎に即かしむるには教えざるべからず。これに教うるに礼儀をもってし、これを誨うるに賞罰をもってす。故に人、勧むを知る。然る後にこれを習わしむあるいは陳べてこれを分かち、坐さしめてこれを起たせ、行かせてこれを止め、走らせてこれを卻け、別けてこれを合わし、散じてこれを聚む。一人、十人を教うべし。十人、百人を教うべし。百人、千人を教うべし。千人、万人を教うべく、三軍を教うべし。然る後教練して敵に勝つべきなり。

(現代語訳)
軍を編成しても、兵卒に教育や訓練を施さなければ、百人で一人の敵に当たることもできない。教育と訓練を施したうえで使えば、独りで百人の敵に当たることができる。孔子は言う。「教育せずに戦わせれば、どぶに捨てるようなものだ。」「善人が七年間人民を教えれば、人民は甘んじて戦争に赴くようになる。」それ故、人民を戦争に駆り出すためには、教育を施し、彼らに礼と義、忠と信を教え込まなければならない。そして軍令を敷いて、賞罰を明らかにすれば、人民は進んで戦争に赴くようになる。その後に軍事訓練を施し、整列や分列、伏せと直立、行進と停止、前進と後退、散会と集合等、命令の下で動かせるようになる。一人が十人を訓練し、十人が百人を、百人が千人を、千人が一万人を教育し、全軍に教育を広げていく。そうして軍事訓練を施せば、敵に勝つことができる。

(解説)
まずは技術訓練を施す前に、一般的な総合教育を施すこと。そして教育や訓練は集団全体の同時教育ではなく、ネズミ算式の拡散教育を行うのが良いとしている。

日本では、義務教育の後、高校や大学などで一般教養を学び、社会人として働くための最低限の知識を獲得しているが、実際は会社に入って、社会人のマナーなどの一般教養を教育してもらっていると言える。専門的な職業訓練については、OJTやメンター制度等、実地で教え込んでいるから、上記で記載したことは行っていると言ってよい。

学生起業家となると、どこかの会社でインターンをする経験はあるが、そんなこともすっ飛ばして自分で起業して、会社を運営しながら、痛い目に遭いながら、自分を成長させていく。正直、社会人のマナーであれば本でも読めばわかるし、経営の基礎知識も本やググれば大丈夫な時代だ。そもそも実地訓練なんて、やりながら覚えるだけでも十分である。ビジネスなんてものは無手勝流上等だ。サラリーマンで十分に社会人経験を積んできたのと、そうでない場合の失敗率なんて、それほど変わらないのが現実である。ダメなことは経験積んでもダメだ。

[教訓]
〇通常は一般的な教養を学んだうえで、ネズミ算式に専門分野に関する教育訓練を行っていくのが効率的であろう。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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