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会社の経営者やオーナーは自分が「法律」だと思うなかれ

それ一人の身にして、百万の衆、肩を束ね息を斂め、足を重ねて俯して聴き、あえて仰ぎ視る者なきは、法制然らしむるなり。もしすなわち上に刑罰なく、下に礼儀なくば、貴は天下に有ち、富は四海を有つといえども、自ら免るる能わざるは、桀・紂の類なり。それ兵の権をもって、これを制するに法令をもってし、これを威すに賞罰をもってして、人その命に逆らう能わざるは、孫武・穣苴の類なり。故に令は軽んずべからず、勢は逆らうべからず。

(現代語訳)
将軍はたった一人で、百万人もの部下将兵に臨んでいる。それでいて部下は肩をすくめ息を凝らして服従し、誰一人として命令に逆らう者がいない。それは、軍法が厳然として行われているからである。
逆に、将軍に刑罰の根拠がなく、部下にも義がなかったら、天下に君臨し、四海の富を集めていても、早晩、自滅の道を辿ることは間違いない。夏の桀王や殷の紂王がそのよい見本である。
これに呈して、しっかりと軍権を掌握し、軍法と賞罰をもって臨むなら、部下は一人として命令に逆らわなくなる。孫武、司馬穣苴(春秋時代、斉の名将)のような名将が良い例だ。決して軍法を軽視してはならない。

(解説)
会社は、世間の法律の他に、内規に支配される。法令を順守する姿勢は、会社全体に求められるもので、スタッフだけではなく、リーダーにも当然適用される。中小企業のオーナー社長の中には、私が法だ、と豪語している奴もいるが、そういう経営者のいる会社に入ってはいけない。間違いなくブラックだ。

近年、コーポレートガバナンスの一環として、コンプライアンスが重視されている。会社に対する忠誠心がなくなり、死なばもろとも、どうせ退職で、SNSを使った社内暴露が行われる危険性が増してきた。

会社ぐるみの違法行為は昔はバレなかったが、最近、ニュースを会社の不祥事が賑わすのは、忠誠心の低下と無縁ではないだろう。社内のある者がいい思いをしていて、別の者がいい思いをできていない、そういうときに妬みが生まれ、正義感が後押ししてしまう。時にはそんなことでリツイートやフォロワーが増えることを期待して暴露することも、起きえるだろう。それ故、十分に法令順守違反が生きないように、気を引き締める必要が管理者に求められる。

[教訓]
〇どこで妬みが生まれるかわからないが、社内で誰かが不当に儲けていたら、妬まれる原因になる。
〇会社に対する忠誠心が薄らいできており、コンプライアンスが今までより重視される。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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