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ビジネスで探すべき究極のモノとは

治軍の政とは、辺境を治めるの事、大乱を匡救するの道にして、威武をもって政をなし、暴を誅し逆を討ち、国家を存し社稷を安んずるゆえんの計を謂う。ここをもって文事われば必ず武備あり。故に含血の螙には、必ず爪牙の用ありて、喜べば共に戯れ、怒ればあい害す。人には爪牙なし。故に兵革の器を設けて、もってみずから輔衛す。故に国は軍をもって輔となし、君は臣をもって佐となす。輔彊ければ国安く、輔弱ければ国危し。任ずるところの将にあるなり。民の将にあらず、国の輔にあらず、軍の主にあらず。故に国を治むるは文をもって政をなし、軍を治るは武をもって計をなす。国を治るには外を従わざるべからず。軍を治るにはもって内を従えざるべからず。内とは諸夏を謂い、外とは戎狄を謂う。戎狄の人は、理をもって化し難く、威をもって服し易し。例は任ずるところあり。威は施すところあり。ここをもって黄帝は涿鹿の野に戦い、唐堯は丹浦の水に戦い、舜は有苗を討伐し、禹は有扈を討つ。五帝三王至聖の主より、徳化かくのごとく、なおこれに加えるに威武をもってす。故に兵は凶器にして、やむを得ずしてこれを用う。

(現代語訳)
軍備に力を注ぐのは、国境のまわりを固め、大乱に備えるためである。軍備があり、国の武威を輝かせ、暴虐を誅し、国を安泰に導くことができる。国には必ず軍備が必要である。虫けらでも爪牙を備えていて、普段は嬉々として戯れているが、一度己を害しそうな相手にぶつかると、猛然とかみついて行く。人間は爪牙を持たない。そのため、武器を備え、自らの身を守る。国の場合も同じく、軍備を調えて守りを固めるのだ。
軍が強ければ国は安泰であり、軍が弱ければ滅亡の危機にさらされる。そのカギを握っているのが将軍であり、軍の強弱は将軍の双肩にかかっている。将軍たるものがその責任も果たせないようでは、人民の上に立つ資格もないし、君主の輔佐としての役目も務まらない。また、軍を統括していくこともできない。
国を治めるには「文」をもってし、軍を治めるには「武」をもってすべきである。また、国を治めるには外敵である異民族を手なずけ、軍を治めるには国内諸侯を慰撫しなければならない。異民族を従わせるには説得よりも武威の方が早い。従い、彼らに対しては先ず礼をもって接するよ、武威をもって臨むことが肝要である。
かつて黄帝は暴虐な蚩尤を涿鹿の野に伐ち、堯は丹水のほとりに軍を進めて三苗を討伐した。さらに舜は有苗を禹は有扈を伐った。このように五帝三王のような至聖の君主でも、徳をもってしてダメな場合は、やむなく威武をもって臨んだのである。
これで見ても明らかなように、軍備は凶器であって、已むを得ざる時に使用するものだが、それを無視しては国の存立すら危うくなる。

(解説)
孫子の兵法から、兵は凶器であって、中国ではやむを得ない場合に用いるという考え方をとっている。従い、軍備とはあくまでも伝家の宝刀であって、やたら行使するべきものではないのだ。隠し持っているだけで価値がある。

伝家の宝刀とは強みではない。強みは常時あるものだ。野球のピッチャーで伝家の宝刀がフォークということがあるが、フォークがあるだけでストレートで三振を奪うこともある。奥の手とか切り札ともいえる。

あなたのビジネスにはどのような奥の手や切り札があるだろうか。

[教訓]
〇ビジネスにおける伝家の宝刀を探せ。何よりも自信になる。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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