それ将たるの道は、必ず天に順い、時に因り、人に依りてもって勝ちを立つるなり、故に天作り時作らずして人作るは、これ時に逆らうという。時作り天作らずして日と作は、これ天に逆らうという。天作り時作りて人作らざるは、これ人に逆らうという。智者は天に逆らわず、またときに逆らわず、また人に逆らわず。
(現代語訳)
リーダーとして勝利を勝ちえるには、天(客観的条件)、時(タイミング)、人(人的条件)の三つの条件に逆らってはならない。
・天と地の二つの条件は揃っているが、時の条件に欠けていることを時に逆らうという。
・時と人の二つの条件は揃っているが、天の条件に欠けていることを天に逆らうという。
・天と時の二つの条件は揃っているが、人の条件に欠けていることを人に逆らうという。
(解説)
事業が成功するためには、客観的な条件とタイミング、人的な条件の全てが揃う必要がある。
客観的な条件というのがポイントだ、起業家にありがちな独りよがりの主観的上手く行くビジネスはここであっけなく除外される。起業家の思い込みは所詮思い込みでしかない。客が欲しがるものは主観的ではなく、客という色々な人の集合体であって、これを客観というのだ。自分以外の誰かが欲しがっていたというのもまるで客観的ではない。多くの人が欲しがっているかが問題だ。だから数多くの人に、こんな商品あったらどうですかと聞いてみよう。その時に価格もヒアリングしてみても良い。
客観的な条件は、顧客ニーズをとらえただけではダメだ。競合他社の商品が魅力的であれば、少し安くしただけでも乗り換えてはくれない。他社から自社へ乗り換える、その逆の時の心理的負担を「スイッチングコスト」と呼んでいるが、ある顧客ターゲット向けに差別化がされていなければならない。
顧客ニーズがあり、競合他社よりもよいらしい、価格もどうやら適正(顧客の欲しがる、そして会社としても利益が出る)で、ターゲット顧客にきちんとアプローチできているという条件をクリアして、次にその販売のタイミングが良いかどうかだ。自分と同じくらいの魅力ある商品が、別のブランド力ある競合他社がリリースしてしまったら、勝てるとは限らなくなる。あるいはその商品の代替品でもっと魅力的な商品が出てきて、自社製品を出す前に陳腐化してしまうというのは決して少なくはない。
また、客観的条件とタイミングが合致していても、その販売員、マネジメント等、人が揃っていないとまたどうにもならない。事業の成功のためには3つが合致しているかをチェックしてみよう。
[教訓]
〇事業の成功のためには、客観的条件、タイミング、人的条件の3つが整っているかがポイントである。