「ゴ、ゴルゴ13、き、君と取引したい!き、君の今回の仕事の請負料の三倍出す。それから今後君が必要な武器は、いつでも、どんなものでもオーダーメイドで、この工場で一品生産する・・・もちろん無料で、だ!そ、それで手を引いてくれっ!!」
「サハム社長、無駄だ・・・彼はそんな取引には、一切応じない・・・あなたが今までやってきた駆け引きや買収は、一切この男には通じない・・・だから・・・その男は世界一のプロと呼ばれているんだ!」
(ストーリー)
1996年のノーベル平和賞は、東ティモールの人権擁護活動家・カルロス・ホルヘ・シメネス・パロ司教と、東ティモール民族抵抗評議会共同代表のジョゼ・ラモス=ホルタである。
アメリカがインドネシアにF16等の武器供与を打ち切り、代わってロシアから武器を購入することとなり、この商談をまとめたアンドリュー・サハムの野望をゴルゴに阻止し殺害してほしいと、ノーベル平和賞を授与したパロ司教が依頼した。また報酬は平和賞の賞金から払うという。
ティモール・プトラ社のティンカンベック工場にコズロフとボディガードのアルバトフが訪れた。ゴルゴはメイクアップアーチストに自分の顔を他人の顔に変えてほしいと依頼し、それでティンカンベック工場に台湾の技術者として潜入することに成功した。
ゴルゴは自動車の組み立てラインを見た。見学中にゴルゴの顔に鉄くずが飛んできて顔に当たる。ベルバトフは傷から血が出ないことで、変装だと察知する。また、ゴルゴはロシアの武器輸出公社の技術チーフコズロフもいることも知る。
ゴルゴはこの工場が実は武器の製造工場だという事に気づいており、その工場内の備品で銃を組み立て、ベルバトフや警備員に反撃。パロ司教にマスコミに公表するよう連絡し、この工場を破壊した。
(解説)
「ティモールの蹉跌」の一幕である。ティモール・プトラの社長であって、今回の標的サハム社長はゴルゴと取引をしようとするが、武器商人のコズロフは無駄だという。
駆け引きや買収がときに必要な時はあるが、一流は自分の仕事のやり方やルールというものを決めていて、それに反する駆け引きや買収は一切乗らない。そのやり方やルールの中での柔軟性は必要だが、それらを変えてしまうのは柔軟ではなく、妥協である。お客に応じた対応も必要だが、それは自分のルール内の対応であればいい。しかし自分のルールを曲げてまでお客様のニーズにこたえる必要はない。そういうわがまま客はどこに行ってもわがままである。お客にしない方がいい。そのような客に関わってしまうから超一流になれるチャンスを失うのだ。超一流は自分のルールに拘る。
[教訓]
〇超一流は柔軟性はあるが、一切の妥協を許さない。