「お前、プロの掟を知っているな? 奴は俺の動きも知っていた・・・プロは二重に仕事を引き受けないことだ・・・」
(ストーリー)
アメリカとメキシコの国境沿いの入国管理局に麻薬の密輸を防止するための犬がいた。その名をピンキーと呼ぶ。麻薬組織にとっては、商売にならない。そこで麻薬防止犬を殺害しようと考えた。銃で撃とうにもその気配を感じ取られ、毒のエサも効かずというありさま。組織のメンバーの一人アドルフが長距離狙撃を試みたが、遠くからでは灰色の犬は見づらく狙撃も不可能ときた。
そこでやむなくゴルゴに依頼することになった。現金で5万ドルと聞いたアドルフは、灰色の犬でゴルゴも狙撃不可能であるから、その後でゴルゴを射殺して5万ドルを手にしようと画策していた。
車の後のチューブに麻薬の粉を塗り付け、犬にわざと食いつかせ、チューブの中の空気に蝶が集まるフェロモンを注入。黄色い蝶がピンキーにまとわりつき、見やすいようにしてゴルゴが狙撃した。また、ゴルゴを狙っていたアドルフも射殺した。その情報を流した男がいたが、ゴルゴの情報もアドルフに流していたことで、ゴルゴによって射殺された。
(解説)
「蝶を射つ!!」の一幕である。アドルフとゴルゴの間に入り、お互いに情報を流し、どちらからも報酬をもらおうとしていたさえない男がいた。その男が知らせていなかったとしてもゴルゴはアドルフの気配に気づいて射殺したであろうが、このような行為は許しがたい。
少々異なるが、わが民法108条に双方代理という規程がある。「同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。」となっている。
たまに不動産業者が売り手と買い手の間をつないで、報酬を二重取りする例もあるが、それはプロの風上にも置けない。売り手と買い手のメリットではなく、不動産業者である自分のメリットの最大化を考えてしまうからである。クライアントの利益を第一に置くのが本当のプロである。
[教訓]
〇プロは自分の儲けよりも顧客の儲けを優先させよ。