「ここで、ぜひ君に聞いておきたいことがあるというのは・・・きみが、この“KGB”の動きについて何かの役割を持っているのかどうか・・・ということだ!!できることなら・・・君を敵には回したくない・・・」
(ストーリー)
アメリカより供与された、イギリスのミサイル誘導装置の重要部品(二重積分器付加速計)をKGBが奪取し、国外へ持ち出そうとしているという情報がMI6に入った。そのスパイのコードネームは「稲妻」と呼ばれていた。
また、ソ連のロケット工学の権威であるアレクサンドル・タミノフ教授は母国の体制を批判し、ソ連には戻れず、ロンドン大学で講義をしていた。それをMI5が防衛していた。また、KGBはゴルゴに、タミノフ教授の殺害を依頼した。しかし単なる殺害ではなく、教授が胸ポケットに入れている銀時計(ソ連最高の指導者に贈られる物)と共に心臓をぶち抜くというものだった。
ゴルゴが銀時計を狙撃して、タミノフ教授を殺害したはずが、その銀時計が教授を守って何の危害もなかった。ゴルゴは裏があることに気づいた。その頃、MI6のヒュームがゴルゴと接触し、何のためにゴルゴがロンドンにやってきたのか尋ねたが、企業秘密は喋るわけがない。ただ一言「稲妻には関係がない」。
MI6は「稲妻」と思える者を逮捕したが、実はKGBの策略であり、稲妻とはタミノフ教授本人であった。ゴルゴは仕事を完遂するため、ヒースロー空港からソ連へ戻るタミノフを射殺した。結果、ゴルゴはMI6の望みをかなえる結果となった。
(解説)
「欧州官僚特別便(ユーロクラット・スペシャル)」の一幕である。誰よりもゴルゴの恐ろしさを知る男、MI6のヒューム。そしてゴルゴにどのように質問すれば、こちらの真意を答えてくれるかがわかっていた。ヒュームは、稲妻という軍事機密を国外に持ち出すスパイを追っているが、それに関わっているかどうか。仮にかかわっていたとすれば無言だったであろう。そして関わっていなかったとすれば関わっていないというと考えて、上記のような質問をしたのだ。
どんな人間にも、常に聞き方というものがある。相手が話しにくいことでも、こちらが質問を変えるだけで、こちらの意図する回答が得られる場合がある。それを実践したのがヒュームの質問だった。
[教訓]
〇聞き方次第では、こちらの意図している回答を得ることができる。聞き方は工夫せよ。