「イスラムの祈りの儀式は平民から国王に至るまで、祈りの声に合わせ、寸分の狂いもなく行われる神聖なもの・・・その神聖な祈りの儀式が標的の位置を正確に知らせている・・・そして・・・狙撃のタイミングは目の前の群衆が教えてくれる!反射角110度!!」
「どこだ!?どこから撃ったんだ!?ん!?そうかっそうだったのか!城外から撃って円屋根に当て、跳弾となして、祈りの座へ撃ち込んだのか!!」
(ストーリー)
ニューヨークで、サウジの国王顧問アブドル・ザルマンの姪が死体で発見された。ザルマンはゴルゴに、犯罪者の殺害を依頼する。しかしこともあろうにその犯人がナジャー皇太子だったことが判明。しかもナジャーはザルマンの息子であった。ナジャーをゴルゴに殺されるわけにはいかないと、暗殺集団ハリージュ派を送った。
しかし6人の暗殺集団は全てゴルゴに殺害される。ゴルゴも中止指令で収まるものを、と一言。
アメリカよりナジャーの引き渡し条件として、ザルマン自らがイスラエル承認演説を国連総会の場で行うこととある。ザルマンは、これはCIAとモサドの陰謀であると考えた。
ゴルゴはイスラムの祈りの時間に、祈りの座にいるナジャーを城外から狙撃し、円屋根に当て、跳弾射撃を行い、殺害した。
(解説)
「110度の狙点」の一幕である。前段がゴルゴの台詞、後段がゴルゴに仕事を依頼したザルマンの台詞。ビリヤードでも直接ボールを狙わずに、壁を狙って間接的に標的を沈める技があるが、跳弾射撃はまさにそれである。また、相手の動きが規則的であればあるほど、予測はしやすい。結局予測ができないのは、相手が不規則であるからである。
さて、跳弾射撃は一種の間接攻撃である。標的を直接には狙わない。営業先に出向く際に、アポ電をするのは直接攻撃で、その営業先の担当者を知っている人がいたとしよう。その知人を介して、会いに行くのは一種の間接攻撃と言える。直接攻撃よりも警戒されずに物事がうまくいくこともある。巧妙な計算が必要なようだが。
[教訓]
〇直接がダメなら間接攻撃をしろ。真正面から行くだけが能じゃない。