「300エーカーの園内には・・・熱帯、亜熱帯のラン、花、樹木類が栽培されています。これらは数世紀にわたり、あらゆる秘境を巡り、命を懸けて新種や珍種を、プラント・ハンターが持ち帰ったものです・・・名誉、カネ、そして、学術的興味のために!こちらが日本庭園・・・江戸時代にシーボルトが458種の食物をオランダに持ち帰り・・・サワラやヒノキ等は、ヨーロッパでもポピュラーになりました・・・」
「植物園の説明がいつまで続くのだ・・・?その説明は依頼内容に関係あるのだろうな・・・?」
(ストーリー)
チベットで種子探索人(プラントハンター)が数多く死亡している。そして全員が黒い悪魔と叫ぶながら錯乱して死んだという。イギリスの王立植物園の延長である、ミスター・フォレストはゴルゴに黒い悪魔の狙撃を依頼した。しかも植物学者であるオールマンという、フォレストの友人がチベットに入ったっきり連絡が取れないという。
チベット国境付近で、ゴルゴはチベットの母子と会い、その母子と共に医者を名乗って国境を越えた。自ら乗ってきたロバを母子に与えて、母を病院に連れて行かせた。子はゴルゴにカシール山には近づくなと忠告する、悪魔が住んでいて外国人を取り殺してしまうという。
オールマンは谷を訪れたときにめまいが襲ってきた。するとガイドをしていたチベット人の男、廉が大量の鳥を呼んだ。ゴルゴはオールマンがよろけているのを見て、お茶に混ぜた幻覚剤によって幻覚を見せられていると気づく。そしてオールマンの肩を狙撃し、目を覚まさせる。ガイドの廉は外人を憎んでいた。チベットから資源を横取りするだけだと。廉は趣旨の入った筒を間違って落とし、拾おうとして誤って崖から落下した。
(解説)
「種子探索人」の一幕である。ずらずらと植物園の園長が植物園の説明を始めるものだから、ゴルゴは遮った。無駄な時間は過ごす必要がない。
この植物園の園長の言葉に「名誉、カネ、学術的興味」とある。思えば、世界で三種類の人間に分けられるとすれば、何を目的に生きるか、それは名誉、カネ、学術的興味ではないかと思われる。これは人のマネジメントを行う場合にも役に立つ。概ね、野心のある人間はこのうちのどれかを追いかけるものだからだ。そのため、学術的興味にモチベーションを感じているのに、カネで釣っても動かない。その人が何に関心があるのかを聞いてから、どんなことをすればその人が動いてくれるかに従って、依頼してみればよい。みんな金に関心があるから、カネさえ与えれば言うことを聞くと思うのは、傲慢としか言いようがない。
[教訓]
〇人は、名誉、カネ、学術的興味のどれかを目的として動く人が多い。そのどれに関心があるかでその人の使い方が変わってくる。だから、金だけ与えておけば動くと考えるのは間違いである。
〇但し、人は最低限の生活のためにお金が必要である。ノーマネーで動くほど馬鹿な人間はいない。成功報酬も所詮はノーマネーである。やれば確実に金が入るという、その確実さを示せるかどうかである。