「部外者は、絶対に建物内には入れないし、盗聴対策も施した研究所だ。誰にもまねできない芸当だぜ!どうやったんだっ!?」
「お前もプロなら、俺から盗むことだな」
「俺のチームと組まねえかって事さ!こっちには最新の機械と人員がいる。それに、あんたの技術が加われば、怖いものなしだ!」
「・・・あの時も言ったはずだ・・・盗聴屋はモノじゃない、仕掛けのアイデアと洞察力を懸けたプロとプロの勝負だってな!」
「しかし、技術革新が一匹狼の技をもうすぐ骨董品にする!奴の手口も必ずこの手で暴いてやる!」
(ストーリー)
元FBIの盗聴屋ボイスは、製薬会社と政治家の妻のスキャンダルをものにした。同業者であるエリオットはボイスの手口を知りたがった。
ボイスは、ジェイミー・ペイジがゴルゴに企業乗っ取り屋のヘンダーソンの殺害を依頼することをキャッチし、ゴルゴの依頼内容も射殺現場も盗聴しようと試みた。ボイスは動物たちを飼いならし、動物たちに盗聴器を仕掛けていた。
狙撃現場が盗聴されていることに気づき、周囲を見渡すと、犬が歩いている。その犬から、盗聴者を割り出し、ゴルゴはエリオットを使って、ボイスを盗聴させ、居場所を発見した。ゴルゴはボイスの泊まっているホテルの部屋に赴き、射殺した。
(解説)
「守宮の盗聴」の一幕である。盗聴屋のエリオットは案件によっては、もっと技術力の高い盗聴屋であるボイスに仕事を依頼していた。そのときに、どうしてもその盗聴の仕方が知りたい。そこで教えてくれと頼んだら、その盗聴方法は営業秘密だから盗め、ということなのだ。「プロなら盗め」。これは普通のビジネスにおいても同様である。会社の上司や先輩に能力の高い人がいれば、その人から方法を聞くのではなく、やり方を盗むくらいでないといけない。教えてくれないわけでもないが、わざわざ時間を割いてくれるほど暇でない。だからやり方を観察して、自分のモノにすればいい。それは同じ会社の上下関係ならいざ知らず、流石に他社の営業秘密を教えるわけにもいかない。同じように、やり方を見て分析すればいい。結局はノウハウを合法的に盗むということだ。
次に「仕掛けのアイデアと洞察力を懸けた勝負」。これは盗聴屋だけではなく、あらゆるビジネスにも言えることだ。常に仕掛けていかなければならないし、競合他社の出方、これからどのような商品にニーズがあるか、洞察力の勝負である。
さらに、エリオットはボイスのやり口を盗んで、自分のところのノウハウにするつもりであったと思う。この点については、人の思考や技術のAI化が当てはまる。AI化が職人の技術を過去のモノにする時代が来るかもしれない。
[教訓]
〇プロなら上司や先輩の技術を盗めばいい。競合他社のノウハウも開示情報から推測すればいい。
〇ビジネスは仕掛けと洞察力の勝負である。
〇職人の技術をAI化せよ。