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後継者として相応しいのはどういう人物か

「君は私の後継者について、どんな意見を持っているかね?いいにくいかね。じゃあ、別の聞き方をしよう。例えばトーマスについては、どんな評価をしているかね?」
「はい・・・トーマスは・・・マーケティング担当重役として分析能力に優れた方だと思います・・・」
「アジア・インド市場担当のアレクサンドルは・・・?」
「Mr.アレクは・・・新しい分野に果敢に挑戦する野心の持ち主です。」
「みんなはついていくかね、二人に・・・?」
「さあ・・・それは・・・」
「ではリンダは・・・リンダはどうかな・・・?」
「はいっ・・・リンダ様には生まれたときから備わっているパワー、といいますか・・・特別な雰囲気があります・・・ですから、経営に関するいろんな知識も経験さえ積めば。何とかなると思いますが・・・それに、これだけ大きくなったこのワールドロップ帝国のかじ取りをしていくためには、みんなを納得させる、オーラが必要です。そのオーラが・・・リンダお嬢様にはあります!」

(ストーリー)
日本の民放(東洋テレビ)の株式が外資系(ワールドロップ)に購入される。世界のメディア王ワールドロップの持ち株は20.5%となる。これは東洋テレビの筆頭株主になることを意味している。しかし現実には、会長とご子息の二人の株式には及ばない。

我が国の電波法では、外資が放送企業株式を20%以上保有することを禁止している。しかし法の抜け道として、外国企業が日本国内に作る子会社による株式保有は別である。但し、日本国籍のない外国人が役員になることは認められていない。東洋テレビの取締役会では、ワールドロップの真意の確認等情報収集を急いだ。

郵政省の中に衛星放送課長補佐の前橋という男がいて、郵政省としては、国民が望む、こうした方がよくなる放送の形を国民に提案して作り上げることが我々の責務だと考えていた。

東洋テレビの猪狩会長のところにワールドロップの秘書が出向き、新会社の代表を取締役として3人の受け入れを要求した。それが受け入れられない場合には会長猪狩の辞任を要求するという。秘書との会話の後で猪狩は倒れた。

ワールドロップには娘がいた。しかしワールドロップが妻と結婚したのは、父の影響力が欲しかっただけ、このことが原因で妻を自殺に追いやってしまった。その件を娘が許せず、父親とは一線を画していた。また、その娘は日本の郵政省の前橋の許嫁であった。

ワールドロップ本人から、前橋に面会した。そしてリンダは自分の娘であると。リンダが前橋と結婚すれば、日本国籍の持ち主となる。娘の説得に力を借りたいとの話だった。

郵政大臣の野本がゴルゴに仕事を依頼。リンダは暗殺者が、父を狙っていると感じ、前橋にも伝えた。日本国内にワールドロップの衛星放送の会社が設立し、社屋起工式会場にて、ゴルゴが狙撃したのは、郵政省の前橋であった。リンダは前橋の夢をかなえるため、父親と和解し、共に仕事をすることになった。

(解説)
「オーバー・ザ・スカイ」の一幕である。後継者として誰が適任だろうか、社長としては悩みどころだ。自分の血族にするのが一番だが、それが組織的に許されるかは別の話である。秘書に自分の後継者のことを尋ねた。ここでスラスラと答えてしまうと、秘書に何らかの野望があるのではないかという疑いも持たれる。秘書がそこまで考えてかはともかく、回答には実に気を使う質問である。そこで、ワールドロップも「別の聞き方をしよう」と質問の仕方を変える。この辺は部下の気持ちをよく理解した対応だと思う。

誰も彼もそれなりに思っていることはあるが、経営者や上司には遠慮してしまうものだ。その辺は、情報収集の一環として、相手が答えやすい質問の内容にしてあげるのが上司としての務めであろう。

次に自分の血族を跡継ぎにするのは、当たり前のようで、そう簡単なものでもない。今の従業員の気持ちを尋ねてみる必要がある。事業承継でまさに難しい点である。誰も従業員が付いてこなくても困る。部下からは、リンダ(娘)こそ、経営者としてのオーラを持っていると言われただけだが、何ができる、かにができる、という実績ではなく、経営者はオーラなのだと思う。むしろ経営者ほど、年数をやっていればいいというわけではない、職種もない。何年やっていてもダメな奴はダメだし、全くやってなくてもいい奴はいい。生まれながらのセンスも必要だ。

[教訓]
〇部下からの意見は貴重である。そのため、話しやすい質問をして、真意を聞き出せ。
〇経営者は、年数でも能力でもない、生まれながらのセンスであり、オーラである。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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