「この男かね、コペイキン書記を殺害したのは?重大な犯罪だな!・・・この事件は特別調査が必要だ!この男の身柄は私が預かる!」
「コペイキンは・・・私の叔父でした!この事件は自分の手で・・・調査したいと、おもうのでありますが!?」
「私情を挟んではならん!!第一副議長のわしを差し置き、捜査の指揮権をうんぬんするとは、許しがたい越権行為だぞ!!」
(ストーリー)
KGB第二総局所属ウラジーミル・ムラトフ大佐が、KGB第一副議長のビクトル・クレメンコを、自分が死んだ後に殺害してくれと、ゴルゴに依頼した。その理由は、叔父イワン・ペトロビッチ・コペイキンがKGBのボリスらに殺害され、尋問中に、クレメンコ将軍がボリスの身柄を保護し、ムラトフの調査を許さなかった。これには何らかの裏がある。自分が殺され、その後に犯人のボリス・ゴドロフが退院すれば、それが証拠であるとゴルゴに告げた。
ムラトフ大佐はアフガニスタンに左遷され、現地で死亡し、ボリスは退院した。ビクトル・クレメンコは政治局員昇格が決まった。クレメンコは精密検査を受けると、老人性痴呆が認められると診断された。
クレメンコは子供の頃の写真を見て、コペイキンの写真を見たときに、部下にコペイキンを殺害せよと命じた。部下はコペイキンは既に抹殺していると告げたときに、クレメンコはゴルゴに射殺された。
(解説)
「十月革命の子」の一幕である。ムラトフ大佐が叔父のコペイキン殺害を実行したボリスを尋問しているときに、黒幕のクレメンコが尋問をやめさせた時の台詞。権限を使って、不都合なことをもみ消したわけである。
しかし、①私情を挟むべきではない、②越権行為は許すべきではない、というのは組織の鉄則ともいえる。少なからず、当事者は尋問に携わらせないことは必要だろう。このケースでは私情を挟んでいるのはむしろ、クレメンコの方であって、ルール上どうにもならないから、アウトローなゴルゴに依頼せざるを得なかった。
会社組織においても、自分の権限を私情で使う者が部下に居たら、警告すべきだし、いかなる場合にも越権行為は認めるべきではない。それでは役員連中がそうだったらどうなるの?だが、耳や口を閉ざすか、辞表を片手に正義感を振りかざすしかないのが現状であろう。
本来、リーダーは自分に厳しい組織にしておいた方がいい。自分がルールになってしまった会社は長続きはしない。どこかでぼろが出る。
[教訓]
〇リーダーが私利私欲を持ち出した組織は長続きしない。自制せよ。むしろ部下の批判を受け取れる人間になれ。そのような組織にしておけば、部下はいつまでもリーダーにつき従ってくる。