「速度の差は話にならんが、運動性能なら負けはしねえよ。あのF-16が旋回半径1キロなら、こちらはただの100メートルだ!この意味が分かるか!?つまり音速の何倍だろうが・・・この1916年製を撃墜するのは至難の業だってこと!」
(ストーリー)
ネバダ州・グルームレイクで一機戦闘機が撃墜された。ソ連のレジンスキーがアメリカ軍の戦闘機XSTの盗み出しに失敗した。
KGBはゴルゴに、アメリカ軍の戦闘機F-19の設計者、クラレンス・ベッカーの射殺を依頼した。この基地からの脱出は対空レーダー、F-15やF-16戦闘機が常備されており、XSTで脱出する以外にはない。仮にXSTを運び出せないときは破壊してくれとのこと。
KGBのアジトにFBIが訪ねてきた。銃撃戦になるが、ゴルゴは任務のためにその場から脱出する。基地の上空を双眼鏡で見ていると、なぜか複葉機が飛んでいる。
ゴルゴは深夜に潜入し、ベッカーを射殺。ベッカーが倒れざま撃った弾丸がXSTのタイヤに当たりパンク。やむなくゴルゴはXSTを破壊した。
ゴルゴは複葉機のパイロットの家を訪ね、複葉機に乗せて州境を脱出したいという。パイロットは老人であったが、第一次世界大戦のときにドイツ機を12機撃墜してベテランであった。複葉機を追ってくるのはアメリカの戦闘機。速度はかなわないながらも、複葉機は旋回半径も小さく、運動性能は高い。しかもレーダーに発見されず、ある意味、ステルス機と同等だった。ゴルゴはアメリカの戦闘機を相手に、脱出に成功した。
(解説)
「見えない翼」の一幕である。通常であれば、最新鋭戦闘機と第一次世界大戦のときに飛んでいた複葉機。もう終わりだ、というのが一般的な考え方だ。どうせかなわないもん。もちろん、飛行性能や攻撃力、防御力、何一つとして勝てるものはない。しかし小回りだけは負けない。これは小さな企業がマーケットの中で生きていくのに似ていないか。
正直勝てなくていいのだ。負けなければ。この話であれば最終目標は、敵のレーダーから逃れ、最終的にゴルゴが逃げおおせればいいだけである。渓谷という地理条件も味方した。しかし運がよかったというだけではない。状況判断に応じて、いくらでも、性能悪くても、それが逆に特性になることもある。だから、古いから、弱いから、小さいからと言って最初からあきらめるのではなく、最終目標を達成できれば手段は択ばず、さて、どのようにすると考えると、思わぬアイデアが浮かんでくるものだ。強弱は表裏一体。実は弱点だと思ったらところが強みに代わったりもする。
[教訓]
〇強みや弱みは、状況によっては逆転する可能性もある。