「左側の廊下のブラインドのひもが切られています!!」
「何!?くそっ、その間を通る時 狙撃するつもりだな!! まっすぐの廊下を行けっ!」
(ストーリー)
ソ連と中国は共産主義国家であったが、国境は隣り合っており、手を取り合った仲間であるというほど強固な関係ではない。
ある日、ソ連の双発機が中国領上空を偵察飛行していたときに、中国に発見され、撃墜。パイロットが一人、怪我をしていたが生存しており、中国公安部が保護した。パイロット、ステバノフが意識を取り戻した場合、スパイ飛行であることが明白となり、中国との関係が悪化する。そのため、ソ連のKGBはステバノフの暗殺をゴルゴに依頼した。
ゴルゴは病院内部に潜入し、居場所や移動経路を探り出し、ストレッシャーに乗せられ、通路で運ばれたステバノフを外からブラインド越しに、狙撃した。収音器を通路に仕掛け、位置を確認していたのだ。
(解説)
「潜入ルート“G3”」の一幕である。1970年代はまだ自由陣営と共産陣営で争われていた時代だ。西側の自由陣営に勢力を持たせないためにも、共産国家であった中国やソ連は共闘しなければならなかったが、どうも国境線が近いと、兄弟げんかをしだすというのは、日本が中国や韓国、ロシアと今一つ仲良くなれない一つの理由であろう。
そんな中で、アメリカCIAとしては中国とソ連の関係を悪化させるために、ステバノフからソ連の中国に対するスパイ行為を暴露させたい、つまりゴルゴの暗殺を阻止しなければならない。ソ連としては中国との関係を悪化させたくないために、ステバノフの口を封じたいとなる。
ゴルゴがステバノフの狙撃のために、病院内に潜入したときに、ステバノフを載せたストレッチャーの移動経路を一つに絞るために、策を練った。その一つがブラインドのひもを切っておいたことだ。普通であれば、外から丸見えの窓から狙撃すると思うに違いない。こうして、自分の思い通りに事を運ばせていくのである。相手に選択肢の余地を与えてはならない。選択肢は自分だけが持つ。交渉上手も相手に選択肢を持たせないものだ。
[教訓]
〇交渉は自分だけが選択肢を持ち、相手には持たせない。そうすればいくらでも相手を思う通りに誘導できる。