「1マイル先の物音も聞き逃さないし、鼻の力もすげえ!!ほとんどの気配はかぎつけちまう!!奴にかかっちゃ、誰もかなわねえ!!奴は確かに超人だぜ」
「まったくジョーは敵なしだ」
「しかし・・・奴にも泣き所はあるさ・・・」
「泣きどころ?やるにそんなものがあるものか!!」
「いや、ある!女だ、女!」
「奴は確かに人間離れしているほど強くてスゲエが、女に関しちゃ、純情一途だ!」
「そういやあ・・・奴はスージーにぞっこんだって話を聞いたが!」
(ストーリー)
ソ連海軍の北東部先端基地ウェーレンにおいて、一人のイヌイットを救出したところ、それはアメリカの諜報員であった。ウェーレン自体が軍事機密とされ、この情報を盗まれて、基地から脱出された。そこで、イヌイットはアメリカの最前線基地に向かっており、アメリカ領内に逃げ込む前に始末してほしいというものであった。
ブリザードが吹きまくる暗黒のベーリング海峡では、ソビエト海軍の科学兵器も全く使い物にならない。近代兵器の戦いではなく、人間と人間との闘いである。
そのイヌイットは、ジョー・アガスラックと言って、イヌイットの中でも超人扱いされている。ゴルゴはそのジョーの情報収集にあたった。そこで唯一の泣き所が女であるという。
まず、ゴルゴはジョーの女であるスージーを襲いに行った。そして、犬ぞりでジョーを追った。1マイル以内に人間がいることをジョーは察知し、警戒を強める。
ゴルゴはスージーが襲われたときの声を録音したプレーヤーを再生し、スージーの声だとジョーがそのプレーヤーに近づいたときに狙撃した。
(解説)
「氷結海峡」の一幕である。相手が強ければ、卑怯だなんだといわれても、相手の弱点を突くしかない。まずジョーとはどんな男なのか、(強み)「1マイル先の音も聞き逃さない」、(弱み)「スージーにぞっこん」。この強みと弱みを把握して、ジョーを射殺した。強みと弱み、その強みが弱みをより弱点にしてしまった。強みだからと言って、それが油断や仇になってしまうこともある。
[教訓]
〇相手の強みと弱みを把握し、弱点を突くことが必要な場合がある。逆に強みが慢心を生むこともある。強みに溺れるな。弱みはいかなる場合にも補強せよ。