「わたしは、前々からあなたの才能を高く買っていました・・・あなたには一流の映画を作る才能も情熱もある!あなたが、ポルノ映画ばかり作っているのは、アメリカ映画界の損失だとさえ思っています!どうして、あなたのような方が、一流作品を作るチャンスに恵まれないのか・・・実に残念でなりません・・・そう、超一流、全世界に配給される映画です!そして、世界の注目を集める作品です。間違いなく世界で大ヒットするでしょう・・・製作に要する費用は無制限!」
(ストーリー)
ある映画監督が企画を売り込みに行った。しかしまるで相手にされない。そこに、費用は無制限というスポンサーが現れた。その条件は、若手男優のポール・ドミニック、女優はジーン・バーバラ。そして暗殺者にはゴルゴを使うということだ。ゴルゴは出演などしないから、当然、隠し撮りということになる。
実際にバーバラが依頼人としてゴルゴに会いに行った。そしてドミニックを暗殺することを依頼する。しかしゴルゴはドミニックを暗殺するときに、違和感を感じ、その場を引き上げ、バーバラと会い、真意を問いただした。バーバラはゴルゴに殺され、さらに、映画監督と撮影者もゴルゴに殺された。そして映画フィルムも車の爆発と共に闇に消えた。
(解説)
「配役<キャスティング>」の一幕である。今まで全くの日陰者だった人間のところに、あなたには才能がある、あなたは選ばれた、あなたに賭けている等々、今までまるで人間関係のない人がめちゃ褒めしてきたら、気分は舞い上がってしまう。しかも映画監督からしてみれば、予算が無制限ときたもんだ。こんな夢のような話はあるだろうか。でもこういうことには裏がある。大抵は詐欺話と思った方がいい。
上記の話であれば、ゴルゴを撮影することで、世間にゴルゴを曝し、大衆にゴルゴを監視させるようにする。そうすれば流石にゴルゴといえども仕事はやりにくくなるに違いない。つまりスポンサーはゴルゴの社会的抹殺を考えていたことになる。スポンサーまでは殺された描写はないが、映画監督や撮影者は自分の命を捨てることになってしまった。これが制作費無制限の対価ということになる。美味しい話にはとげがある。原則論はそのように考えていた方がいい。もちろん警戒しながら、どんな話なのか、リスクは管理できるのかを考えて、何とかリスクが削減できそうならばやってみればいい。
[教訓]
〇美味しい話にはとげがあるが、虎穴に入らずんば虎子を得ずとも言う。リスクが自分の力で削減できるかだ。