「一つだけわからないことがある・・・あれだけ完璧なプロフェッショナルが、どうして、路上に空薬莢を落とすようなバカげたミステークを・・・」
「あれは、俺たちをからかったのさ!!」
(ストーリー)
アメリカの証券取引委員会(SEC)がウォール街で力を持ち始めた投資家ロバート・ホートンというマフィアを暗殺してほしいとゴルゴに依頼した。ホートンが31階建てビルの事務所、地上100メートルという高さにいる時をおいてないというのがSECの見立てであった。
狙撃は成功したのがだが、その時の空薬莢をビルの屋上から落とすという失態を演じてしまう。その空薬莢をFBIが拾って、ゴルゴがホートンを狙撃したことは間違いないとにらむ。しかし、その狙撃距離500メートル、スコープで除いたところで標的は隙間からやっと見える程度、さらに6.2メートルという横風の中という中で、狙撃したというのは不可能に近く、少なくとも陪審員を納得させることはできず、無罪としかならない、と刑事は判断し、ゴルゴを逮捕することはできなかった。
(解説)
「ROOM No.909」の一幕である。ゴルゴにしてみれば珍しいミスをした。刑事がゴルゴの狙撃が完全だとしても、何故空薬莢を落とすようなミスをしたのか、と疑問に感じたシーンである。ゴルゴは、ちょうど標的を狙撃した瞬間に、猫が立てた物事に反応してしまって、空薬莢の方まで気が回らなかった。
一つの事に集中したときには、別の事に集中できなくなる。資料作りをしているときに電話が鳴ると、それだけで、今まで考えているロジックが頭の中から崩れ去ることが多い。だから、芸術家、クリエイティブな仕事をしている人材は電話を嫌うのではないか。経営者も同じである。ビジネスの事を常に考えているときに、わけのわからん電話が突然かかってくると集中力が切れてしまう。
その他の事に気が回らないことがあるというのは、一つの事に集中している証拠と言える。他の事でミスが致命的になることになる場合であれば話は別だが、そうでない限りは、ケアレスミスは集中力を研ぎ澄ます仕事をしていたからだという勲章だと考えよう。
僕らは人間なんだ、機械ではない。全ての事に気が回らなくても仕方がない。但し、致命的なミスになるときは、話は別だ。あらん限り集中力を回すべき必要がある。完璧な仕事をこなさなければならないときには、ミスしてもいいことは別にミスしてもいい。完璧にやらなければならないことだけを完璧にこなせばいい。
[教訓]
〇ケアレスミスは、一つの事に集中している勲章と考えろ。
〇ちょっとしたミスは気にしすぎるな、致命的にならなきゃいい。