「思い付きだけで行動するのは・・・愚か者のすることだ・・・それを得意げに話すのは、もっと愚か者のすることだ・・・」
「あんたは、人間の欲について勘違いしているようだな・・・自分を納得させるためには物欲を捨てるという教えもあるんだ・・・」
(ストーリー)
ドイツ国防省の次期戦闘機購入において、どの戦闘機が選ばれるかは戦闘機メーカーにとって血みどろの争いになる。政敵ホルスト・マンハイムを消すと同時に、マンハイム派を分解させ、二度とこのマーケットに参戦させないようにするのがゴルゴへの依頼だった。
珍しくゴルゴにしては前金と成功報酬という形になったが、依頼人は成功報酬を払わずに側近であるフルウールトにゴルゴを消す任務も任せた。
マンハイムは息子の妻に尋常ならぬ思いを抱いており、息子の妻を襲っているときに報道陣も駆けつけ、ゴルゴは部屋のシャンデリアを狙撃し、マンハイムと息子の妻を圧殺した。
その後、逃亡を図る車のところまでフルウールトがゴルゴを連れていき、仲間の一人がゴルゴの背後を取った時、いつもの癖で背後のものを攻撃、しかし銃を手にしたフルウールトに背後を取られてしまった。「どんなに運動神経の優れた人間でも一度に二つの動きはできない」。フルウールトが油断した瞬間に車のキーを目に投げつけ、その隙に銃でフルウールトを射殺した。
当然、ヘリコプターで向かった先は、依頼人のところだ、報酬を増すという、しかし依頼人は、ゴルゴを攻撃しようとして、その場に来た孫を間違って刺し殺してしまい、さらに自分の誤りで自分に矛を刺してしまった。ゴルゴが手を下すまでもなく。
(解説)
「スキャンダルの未払金」の一幕である。正直、名言だらけの話だったが、厳選して二つだけを取り上げた。前者はゴルゴの性癖を見抜き、自慢げに背後を取ったが、何も話さずにそのままゴルゴを射殺しておけばよかったのに、自慢げに話しだした。
思い付きだけで起業しようという素人も多く、そういう人間に限って多弁で、自分のビジネスが凄いと思っている。そしてうまくいかないのは他人のせいにする。上手くいかないのは自分のせいだと気づかない限り、上手くはいかない。まさに自分のビジネスについて意味のないことをずらずら話し出して、無駄な時間を使わせる愚か者という奴だ。
依頼人は何でも金を払えば解決すると思っている。それでゴルゴを殺そうとしたことも金で解決しようとした。プロなら金で解決しろと。しかし本当のプロは金だけでは動かない。信念だ。物欲を捨てたとき初めて信念をコントロールできる。
[教訓]
〇多弁な奴ほど、無意味なことを話し続ける。しかしその話で他人にとって意味があることは全くない。
〇金を第一から捨てたとき、始めて事業家としての信念が確立する。