「あたしね・・・ラスベガスやブロードウェイのステージで唄うことが夢だった!それが、さ、都落ちもいいところ!こんなところまで流れてきちまって、さ・・・もうスターになろうなんて夢は、諦めたよ・・・ふふふ・・・ね・・・今夜も、店に来てくれるわね・・・?」
(ストーリー)
イスラエルとレバノンで暴力の応酬が繰り返されていた。ゴルゴはサウジアラビアにあるバーに入り浸っていた。そしてそこでのシンガーが歌い終わると返っていく。バーのマスターがそのシンガーである女性リリィにご執心なんじゃないかという。
イスラエルとレバノンの商店爆破事件は、表面上はパレスチナゲリラとイスラエルの報復となっているが、実際はCIAと、武器商人が中東に絶えざる緊張を生むための仕掛けであった。そして、これを仕掛けるCIAのメンバーであるバンバーがゴルゴの標的だ。
ゴルゴはリリィに接触し、バンバーがいつどこから現れるかを確認した。実はバンバーは女性であった。ゴルゴはナイフで殺害した。
(解説)
「焼けただれた砂」の一幕である。CIAの恋人がいるというくらいだから、リリィはアメリカ人なのだろうか。そしてバンバーとともにアメリカから、中東の地へ渡ってきたのだろうか。ラスベガスやブロードウェイのステージで唄うことが夢だったといっている。
正直、スターになるだけが人生ではない。もっともスターになれる人材は一握りだが、そんなことよりも自分の好きなことで食べていける環境にあることは素晴らしい。リリィにしてみれば、バーでシンガーをやっていられる。ゴルゴの場合は少々事情が異なるけれども、リリィの唄を聞きに来てくれる客がいるならば、それだけでも幸せと言えよう。
スターになるという重しを取ってしまえば、人は楽になれる。ただ生きてさえいられればいいというならば、スターになる必要もない。経営だってそうだ。別に情上場企業の社長になんてならなくていいし、人がうらやむほどの稼ぎがなくたっていい、売上に拘るとか年収に拘るとかせず、ひたすら生きていければいいと思うだけで背中に羽が生えたように軽くなる。そこからが本当ビジネスが始まるのだ。
[教訓]
〇一度、必死になることを捨ててみよう。そこから本当のビジネスが始まる。