世界の歴史を題材とした起業家応援メディア

どんな天才であれ将来を100%予想することはできない

「しかし、二階堂の悪魔のような頭脳も、ソ連の崩壊までは予想できなかったことになる・・・これがあと十年遅ければ、私がモスクワへきて、資料を探し出すこともできなかったろうに・・・」

(ストーリー)
ソ連は崩壊した。そこでKGBの機密資料も高く売られていた。ドイツ人ジャーナリスト、カール・ディデスが日本人抑留者の資料を見つけ、金になると思って、日本の金子を訪ねた。それは日本一の軍事メーカー大東重工業の二階堂洋介会長の過去を探るためだった。

第二次世界大戦で敗北し、シベリアに多くの日本人が抑留され、極寒地で労働をさせられた。ロシアとの交渉に中西参謀長と二階堂副参謀長が対応していた。二階堂は日本人収容者の教育を受け持った。抑留者の中に金子もいた。二階堂はロシアに日本人を売り飛ばしたのだ。

二階堂から依頼され、二階堂の過去を探る男を消すために、ロシアのソゴロフがGRUのアンドレイ・イワノビッチを派遣した。そして金子は戦友梶原の孫娘であるナタリアに会って調査を依頼した。その頃、ドイツ人ジャーナリストであるディデスはイワノビッチに襲われ、殺される。金子は、ロシアの友人を通じて、ゴルゴを紹介され、ボディガードとして雇った。実は、金子のそばにいることで、ソゴロフを殺害することを目的としていた。

ゴルゴはイワノビッチを殺害。金子はひっそりとロシアで暮らしていた中西参謀長にも再会した。そこで二階堂の真実を聞かされる。さらにKGBの資料室で二階堂がソ連のスパイであったことも知ることになる。その資料によると、東京裁判でスターリンが二階堂の進言でソ連検事団の東京到着を送らせたという。実は二階堂は日本からソ連を遠ざけて西側の自由経済の中で日本を管理すると考えていたというのだ。

金子は二階堂の真実を知り、日本へ帰国することにした。そしてソゴロフが追ってきて、ゴルゴが殺害した。ロシア政府はエリツィンが大統領になったとはいえ、まだ盤石ではない。ソゴロフと二階堂が結びつくと、ロシアの保守派が台頭し、再度クーデターの恐れがある。そこでソゴロフの殺害をゴルゴは依頼されていた。

また、二階堂は金子に死んでもらわなければならないと最後の仕掛けをしていたが、ゴルゴに見破られ、ゴルゴは戦友梶原の孫娘を射殺。二階堂はこれまでと思い、自害した。

(解説)
「モスクワの記憶」の一幕である。二階堂氏によれば、シベリア抑留者の犠牲のおかげで、日本はソ連からの統治を避け、ドイツのような東西に分かれずに済んだことになる。これを見る限り、二階堂氏は日本人の恩人とも言えなくもない。

それはさておき、二階堂氏のような天才でも、ソ連の崩壊は読めなかった。第二次世界大戦後半世紀後の出来事を予測できなくても、致し方がない。自分の将来だって確実に予測もできなかろう。それ故、将来どうなるかを予想することは、諦めるしかない。但し、こんな世の中になるのではないかというイメージみたいなものはわかるかもしれない。それは世界の頭脳たちが、半世紀後はこうなっているとか言うのを自分なりにイメージするだけで精いっぱいだろう。総論的な予想はできても、各論的な予想は困難である。従い、総論的な予想だけに止め、各論的にはその場しのぎをするしかない。また、それでいいのだと思う。

結果として将来を予測できた人はいる。しかしその多くが数多くの中で予想されたうちの一つであることがほとんどだ。1,000人のじゃんけん大会で最後に勝った人間が、単に勝っただけにすぎない。

[教訓]
〇どんな天才でも100%世界を予想できるわけではない。当たっていたとしたら単に結果論である。
〇総論的には概ね当たることもある。各論的にはその場しのぎで対処するで良い。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
SNSでフォローする