「聞いてください、Mr.デューク・トウゴウ。もちろん我々も相手方も、中央の意志である停戦合意を遵守したいのです。だが、中々末端の兵士までは命令が伝わらない・・・そして、悲劇は繰り返されています・・・」
(ストーリー)
ボスニア・ヘルツェゴヴィナのある道路を通りかかると、射殺される。クロアチアの鷲といわれるアンドリッチは、淡々と人を殺していく。内戦が始まって、アンドリッチの妻ニーナは敵の兵士に子供ごと撃ち抜かれて殺された。
クロアチアの子供兵が、アンドリッチとの交代の時間にやってきた。アンドリッチは子供に戦争は怖くないかと尋ねたら、父や母の仇が打てるから問題はないという。アンドリッチが一人射殺した後、子供兵を一人にして、トイレに行こうとしたら、ロケット弾を撃ち込まれて少年兵は死んだ。
それから半年後。サラエボでは大規模な戦闘はなくなったが、中部や南部ではまだクロアチアに対するセルビア人への攻撃が続けられている。つまり停戦合意が無視されている。それは末端の兵士にまでは命令が伝わっていない状況である。その悲劇を終わらせるためには、クロアチアの鷲という狙撃兵を殺害すること。
誰しも、もう停戦なんだから、殺人はやめたいと思っていた。憎しみが憎しみを呼び。次の世代まで引き継がれていく。アンドリッチがあるビルの窓の外から、姿を現した。依頼人にゴルゴが確認した。スカーフをまいていると。そして自分の銃で狙撃してくれと頼んだ。依頼人は目が見えなくなっていた。かつての友人を自分で狙撃し、幕を落として上げることはできなかった。
(解説)
「スナイパー・ストリート」の一幕である。クロアチアの鷲というスナイパーがいる限り、クロアチアとセルビアの停戦合意は遵守されない。そこでクロアチアの鷲の旧友、実はセルビア側なのだが、彼が紛争を終わらせるつもりでゴルゴに狙撃を依頼した。
組織としての決め事を徹底するには、その決め事を守らない人間を排除する必要が出てくる。これは実際は敵同士でありながらも、昔は友だった相手が引導を渡した。組織の命令は絶対である。守らない物には断固とした措置が必要であり、解雇もその一つと言えよう。誰かが組織のルールを守らないと、それは確実に伝播する。その前に、組織を乱す者が、一番信頼しているものが指導、あるいは通告することだ。
[教訓]
〇組織のルール遵守は徹底させよ。組織を乱すものが一人でもいると、その悪影響は確実に伝播する。一番信頼している人から、通告された方が効き目があるだろう。