「彼は・・・私への“義理”から“左腕”で・・・“仕事”をした・・・のじゃあないだろうか・・・?」
「あんな奴らが“義理”とか“恩義”なんかを感じるものかよっ!!カネだけで動いている連中なんだぜっ!!」
(ストーリー)
シカゴのフリーウェーでゴルゴが交通事故に遭った。病院に運ばれるが、ゴルゴが気づいたときに自分の腕を確認すると、モノが持てなくなっていた。ゴルゴは病院から抜け出して、すぐに天才整形外科医ヤン・リー・カッターの元を訪れて、手術を依頼する。
ゴルゴも仕事を控えていたので、あまり時間がなく、ヤンには無理を聞いてもらった。イリノイ州知事選に出馬するスタンツは、ナチの信奉者で、組織に属していた写真をワサンは公表するという。スタンツはワサンに超一流の狙撃手を雇ったと脅迫した。そしてスタンツはゴルゴだという。その写真を見て、スタンツの用心棒はヤンが手術をした男だと知る。
しかしスタンツのゴルゴに依頼したと伝えるのはルール違反である。ちなみにヤン自体もワサンとは知り合いだった。実は大学の資金援助をしてくれたのもワサンだという。
ヤンは用心棒から、ゴルゴがワサンを狙っている男だと聞かされる。用心棒はゴルゴの神経を切断すれば右腕は使えなくなるという。ヤンは医者としてそんなことはできないと悩む。ヤンはしばらくワサンにシカゴから離れるように用心棒から伝えようとするとき、ワサンはゴルゴから狙撃された。そしてゴルゴは狙撃地点に左利きの銃を残していった。
さらに裏切り者のスタンツをゴルゴが狙撃するが、今度は狙撃地点に右利きの銃を残していった。ヤンは、ワサンを狙撃したのはヤンに対する義理で左利きの銃を使い、スタンツに対しては右腕が治ったことを知らせたのだと思った。
(解説)
「天使と悪魔の腕」の一幕である。ゴルゴを見ると、イデオロギーや感情はないが、金だけでは仕事をしていないことがわかる。究極のビジネスマシーンのようだ。国際的に活動しているから、まさにInternational Business Machines、つまりIBMである。もっともCorporationではない。
ここでゴルゴが表したものは、ヤンに対する義理で、ヤンを育ててくれたワサンの狙撃には右腕は使わなかったこと、そしてヤンに対する感謝で裏切り者のスタンツを右腕で射殺したことである。ヤンは医者であるので、患者が治れば嬉しいだろう。それは、医者の冥利に尽きる。
ビジネスでもカネだけではなく、「義理」や「感謝」をベースにしたいものである。
[教訓]
〇ビジネスの基本は義理や感謝である。カネも重要だが、それをベースにすると、超一流にはなれない。カネは目的ではない、カネはビジネスの結果に過ぎない。求めるものではなく、勝手に来るものだ。無理に追うな、自然に呼び込め。