「モンテスキューも言ってますよ・・・スパイは、尊敬すべき人間が行えば我慢もできるが、スパイが不名誉であるのは、スパイ活動を行う者が下劣だからだ・・・と、ね・・・」
(ストーリー)
東ドイツが有能でハンサムな若い男を使って、政府機関に勤める西ドイツの女性から情報を入手するスパイ活動を行っていた。これら若い男性のことをロメオと言っている。特に西ドイツの女性は未婚のオールドミスが選ばれた。
同じく東ドイツの諜報員であるクラウスがロメオのペーターと接触した。ペーターの標的は西ドイツ外相の個人秘書ヒルデガート・エールリッヒ(通称ヒルダ)である。ヒルダはペーターから騙されて、情報を入手する。また、クラウスは暗殺者のゴルゴに注意するようにとペーターに告げた。何度かクラウスと接触するが、西ドイツ連邦憲法擁護庁にクラウスは逮捕されてしまう。
ヒルダから最後の情報を入手したペーターのところに私立探偵がやって来る。ペーターはヒルダと私立探偵に銃を向ける。しかし、ゴルゴはペーターを射殺する。私立探偵を依頼したヒルダの父親は、ゴルゴにもし交際相手が東側のスパイであったら射殺するように依頼していたのだ。
(解説)
「ロメオたちの西側」の一幕である。自分が語っても多くの人は何とも思わないが、有名人が語ると耳を傾ける。仮に同じことを言ってもそんなものだ。恐らく有名人が語った中で本当に素晴らしいこと言っているなあというのはほんの一握りに過ぎない。
自分で考える癖のついている人間にとっては、誰が言ったことであろうと、自分の中で消化しようとするから変わらないのだが、自分で考える癖のついていない人間にとっては、その言葉の内容が理解できないから、誰が言ったかが重要になる。そして世の中、そういう自分で考えない奴は99%もいるから、有名人が言った言葉をそのまま伝えれば、聞いている方は意味もなく納得する。この効果を使えばいい。
今回のゴルゴへの依頼人は、モンテスキューの前に、モーゼはかく語りき、孫子はかく語りきといって、最後にモンテスキューが出てきた。ゴルゴは下らねえと思ったのか、さっさと退席してしまったのが笑える。ゴルゴは自ら考える人間だから、そうなのだ。
同じ職業でも尊敬できる人間がやっていれば、素晴らしく見え、下劣な人間がやっていれば、ダメにしか見えない。だから、肩書なしの、人重視で物事は見るべきだろう。そしてその結果や事実だけで判断すればいい。それが自分が考えるということなのだ。
[教訓]
〇自分で考える力のある人間は、肩書には騙されない。