「こんなところへ入ってくるやつの心理は不思議な反応を示す。死ねと言えば逆に生に執着する。希望を持てと言えばあきらめる。」
(5話)
(ストーリー)
ゴルゴはアラスカの刑務所にわざわざつかまって潜入した。その死刑囚の一人をわざわざともに脱獄し、死刑に処される前に、ゴルゴが射殺するというストーリーである。依頼人は、この死刑囚が獄中で何か秘密をしゃべることを恐れてゴルゴに依頼した。
(解説)
「檻の中の眠り」の一幕である。刑務所長がゴルゴに言った台詞。刑務所長の囚人の心理に関する感想。囚人になる(罪を犯す)のが悪いといってしまえばそれっきりだが、一種の言葉の暴力である。
世間でいうところのブラック企業は、言葉の暴力のオンパレードのようなところがある。もちろん単に仕事があふれていて、終わるまで帰れない。終わるまで休みがない。休暇を取るのにプレッシャーのある無言という言葉の暴力もあるかもしれない。
刑務所長が囚人に対する言葉のような逆説的な言葉、但し、刑務所長は元より囚人に心理的圧迫感を与えることで、囚人を容易にコントロール下に置くことを目的としたものとは異なり、一般人には逆説的な言葉を使っても逆効果になることが多い。ガツンと言って奮起してくれるだろうといった期待は持たない方がいい。当然、ブラック企業にありがちな、単なる暴言は許されるものではない。
そうは言っても、最低賃金を保証しなければならず、容易にやめさせられない労働法にプレッシャーをかけられて、やむを得ずそうせざるを得ない雇い主もいると思われる。
いずれにしても、言葉の暴力はよくないが、打たれ強そうで、それを乗り越えてくると確信を持てる人材に対しては、逆説的な言葉も効果があるだろう。しかしすぐさまフォローが必要と思われる。けなすだけでは人間しおれる。褒められて伸びる人間の方が多いのではないか。逆にいい気になる奴もいるから過度な褒めは厳禁だが。
[教訓]
〇褒めて伸びる者、逆説的な言葉をかけて伸びる者をきちんと見分けろ。全員同じ方法では人は成長しない。