「ミスター・グラハム、誠に申し訳ありません、全くプライベートな問題でして・・・」
「我々は仲間だよ。話せることなら話してみてはどうなんだ?」
「そうとも!我々結社が大いに活動するにも、まず家庭が大切だ!」
(ストーリー)
ヘンリー・キッシンジャー氏、ニクソン政権及びフォード政権期の国家安全保障問題担当大統領補佐官であり、国務長官の暗殺計画が陰で進んでいた。ジェフ・マッケンジーがゴルゴにキッシンジャーの暗殺を依頼しようとしていたが、ゴルゴに会う前に暗殺者に殺されてしまった。
非行少年グループの一人がゴルゴの背後に立ったために殴られた。その仕返しをしようとグループでゴルゴのところに行ったが、リーダー格の人物が、ゴルゴはプロだと知り、仕返しをやめさせた。グループの一員になりたくて、少年ジムはゴルゴに銃を突きつけるが、撃てない。ゴルゴはジムを見逃す。ゴルゴは依頼人が来ないことを不審に思っていた。
また、マッケンジーを殺したのがゴルゴではないかと疑う集団がいた。しかも依頼金を奪った卑怯な奴とも思っていた。その集団はジムを使ってゴルゴを殺そうとする。そこでジムはキッシンジャー長官の暗殺計画を知ってしまう。
アメリカ政府はマッケンジーが依頼した暗殺者がゴルゴであることを突き止め、シャークという暗殺者(マッケンジーを射殺した者)にゴルゴを狙わせた。
(解説)
「ザ・スーパースター(前編)」の一幕である。キッシンジャー氏は1973年にベトナム戦争の和平交渉の功績でノーベル平和賞を受賞している。元々はドイツ系ユダヤ人であり、ヒトラーの反ユダヤ政策から逃れるため、アメリカに亡命してきた。国務長官在任中にシオニスト指導者たちを多くの政府機関の役職に就け、シオニスト期間が免税措置を受けられるよう、IRSの規則を書き換えさせたとも言われている。
キッシンジャー氏の件についてはともかく、氏を守ろうとしていたアメリカ政府側の結社があり、そのメンバーの中に、少年ジムの父親も含まれていた。元々アメリカにはプライベートや家族を大切にする、というよりはバランスを取る、自己を犠牲にしすぎない国民性があり、組織が活動するには家族が大切という考え方がある。今までの日本の価値感では、自己を犠牲にして組織を尊ぶ、その結果、家族すらも犠牲になってしまうことが、社会問題視されている。
価値観の問題かもしれないが、人生においてプライベートとはいわゆる家の土台である。仕事はその土台の上に立っている柱や床、屋根や壁である。土台がしっかりしていなければ、上が全て揺らいでしまう。
プライベートを守ることが、仕事のパフォーマンスも高める。そういった環境を整えるのも経営者の役割の一つと言える。周囲の人間が人のプライベートに入り込むのは単なるお節介だが、家族が大切だといえる環境は素晴らしい。
[教訓]
〇価値観の問題という前提条件はあるが、プライベートが人生のベースであり、仕事はその上に立つ建物のようなものだ。まずは土台からである。