「趙秀峰、あんたは何か勘違いしているようだな・・・俺は宝捜し屋じゃあないし興味もない・・・あんたの期待にゃあ答えられそうにない・・・」
(ストーリー)
第二次世界大戦末期1944年、ドイツの潜水艦が日本への金塊、水銀輸送の密命を受けたが、マラッカ海峡のベナン付近で沈没した。
東南アジア屈指の貿易商人である趙秀峰がゴルゴに接触してきた。趙は、その潜水艦から5トンの金買いを引き上げた赤眉と呼ばれる秘密結社の一派の抹殺、リーダーの巡風頭の抹殺、そして金塊の行方の追求をゴルゴは依頼した。しかし金塊探しには関心がないとこの依頼を断った。
実はゴルゴは別の依頼で巡風頭を追っていた。趙秀峰に雇われた暗殺者が巡風頭を狙っているという情報を得て、その手下がゴルゴを捕えた。実はわざわざつかまったというのが正解で、次から次へと手下を殺害。巡風頭をおびき寄せた。死ぬ間際、巡風頭は、趙秀峰の殺害を依頼。ゴルゴは受諾して、趙秀峰を殺害した。
(解説)
「殺しの紋章五爪竜」の一幕である。趙の手下に囲まれて、ゴルゴは街で騒ぎを起こして時間を使うよりも、手下が趙のところに来てほしいという願いにこたえた方が、時間が少なくて良いと思ったか、あるいは何らかの情報を得られると思ったか、手下について行って、趙に会うことにした。そこで金塊の話をされたが、返したのが上記台詞である。ゴルゴは関心がないことは明確に関心がないと伝える。おカネなどいくらでも稼げるから、金塊探しにはまるで関心がなかったに違いない。その前に、別の依頼者から巡風頭を殺害してくれという依頼を受けていたこともあったろう。
なんでもやりますというのはプロではない。これしかできない。これしかやらないからいくらくれ、というのがプロの仕事だ。明確にこれしかやらないといわなければならない。なんでもやる、ワンストップサービスだなんて言っているのは、ド素人のやり方だ。プロなら一つだけやれ、完璧に。そのおまけで何か付随的なことをお客のためにやるのは問題はないが。
[教訓]
〇ワンストップサービスなんて言っているのは、うちは素人ですといっているようなものだ。もっとも、その後で専門家に振ることはわかっている。要するに客集めのプロということだろう。