「よしっ早速基地内の捜索をさせよう!」
「お待ちください閣下!ここはひとつ私にお任せください!ここで下手に騒いでは、かえって奴にチャンスを与えてしまう恐れがあります。・・・それよりも、奴の動きを待つのです。奴が現れるであろう場所ははっきりしているのですから・・・」
(ストーリー)
テオドール・ナッソー大佐が、ベルギーの情報機関元長官ファン・エルメルと西ドイツから迎えた顧問ヨアヒム・シュバイデル、どちらもスパイを狙撃してくれとゴルゴに依頼した。
シュバイデルはベルギーのゲントにおいて、狙撃。そしてエルメルは東ベルリンの東ドイツ陸軍基地に捉えられており、容易に潜入できずにいた。
それもそのはず、ゴルゴが潜入する情報が漏れていたのだ。情報部コーベル大佐の策略で、歩哨の手首に警報装置を取り付けた。保証を一人でも殺せば脈が止まり、ゴルゴの存在がわかる。
ゴルゴは歩哨を脅して新しい囚人として内部に潜入した。エルメルは、テオドール・ナッソーを二重スパイと話した。そして、エルメルもナッソーの罠にはまって捕らわれの身となった。ゴルゴにも気を付けろと伝えた。ゴルゴはそれを聞いた後、シアン化水素銃で心臓マヒを起こさせた。
テオドール・ナッソーが情報を漏らしてゴルゴを罠にはめた(ゴルゴの生死を懸けたゲーム)ため、もう一度ナッソーに会って爆殺した。
(解説)
「曲線の男」の一幕である。捜索をすれば、かえって、警戒していることがバレてしまう。どちらにしても、ゴルゴが来ることはわかっているのだから、待っていれば現れる。警戒されないようにするのが良いと考えた。しかし、ゴルゴにしてみれば、情報部の大佐が来て、警備が強化されないということは、何か仕掛けているに違いないとかえって警戒することになる。どう転んでもゴルゴは警戒する。そしてエルメルがいるところは歩哨が警備して立っているところと簡単にわかってしまっている。
動きがあるはずなのにない場合、動きがある場合。動と静の区別だけでここまで相手の心理が読める。ある意味で動いたら負けよ、というか動きの意図を読まれたらダメということだ。また、交渉時にこちらがイライラしてもならない。相手に余裕を与えてしまうことになる。
[教訓]
〇動きを相手に見せてはならない。動く場合は普段通りを装え。
〇交渉時もこちらのペース通りにうまくいかないからと言ってバタバタするな、落ち着いていろ。
〇相手の動きを良く観察せよ。何がしたいのかがよくわかる。