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自分基準でなく、組織基準で人を見よ

「一台当たりの製造コストは2,000万円・・・し、しかし、コストは量産に入れば適正価格が実現できるかと・・・」
「価格以前の問題だ・・・車の性能そのものが市場に流通するレベルに達していない・・・」
「し、しかし社長、電気自動車の開発は、どこのメーカーも苦戦しているのが実情で・・・わが社のモデルはその中で健闘している方だとっ!!・・・」
「吉原・・・最後の質問だ。立石誠と、乾伸次郎の名前に心当たりはあるか・・・?たしか・・・君が技術開発のラインから外しているな?」
「ええ、とんでもないエンジンの開発を主張してきましたので・・・」

「西条、吉原を技術本部長から解任しろ。それと取締役からの降格も、忘れるな!」

(ストーリー)
日本のエンジニア立石の開発した水素燃料のエンジンがフランスの自動車メーカーであるエミューの最終テストに合格した。

沢田社長が自社の新型電気自動車をテスト運転した。そこに同乗したのは技術本部長の吉原。社長は電気自動車が市場に流通するレベルに達していない。しかも有能なエンジニアを外したことで、吉原は技術本部長から解任された。

沢田社長は、立石と乾に頭を下げに来た。水素エンジンが海外に出れば、日本自動車メーカーの全てがが前代未聞の危機に陥ると。しかし二人のエンジニアはそれを拒絶した。沢田はゴルゴに依頼するしかないと思ったが、ゴルゴがその仕事は受けられないと拒否。沢田はアメリカの自動車メーカーが関わっているのではないかとカマをかけるが、関係がないという。

水素エンジンのテスト運転を乾が行った。しかしその走行中に、ゴルゴが狙撃。水素燃料車は大爆発を起こした。

アメリカの自動車メーカーの会長が沢田社長に連絡をしてきた。既に、水素エンジンは我々も開発済みであると。しかし石油が枯渇するまでは、我々は勝手な真似ができないのだと。沢田はゴルゴを雇ったのが、アメリカの石油メジャーであることを理解した。

(解説)
「ゼロ・エミッション 排ガスゼロ」の一幕である。新型電気自動車に社長自ら運転する。その時技術本部長を同乗させ、色々と質問をぶつけた。そこでもポイントは二つ。まずは、言い訳をしたこと。そして優れた部下をはじいたことである。

優れたリーダーは言い訳を嫌う。そのため、部下からの言い訳も当然ながら嫌う。ではどうするのか、が知りたいのである。また、技術開発は自動車メーカーにとって根幹だが、そこで、自分の意に沿わない天才を、退職させるきっかけを作ってしまっている。天才こそ引き上げなければならないはずなのだが、天才はどこへ行っても煙たがられる。

人を見る目がない者を管理職に据えた取締役すらも降格だ。組織において人を見る目がない、人の使い方が悪いのは致命的である。

[教訓]
〇特に管理職は言い訳はしてはならない。
〇自分にとって使いづらかろうと、会社にとって、有用な人材を弾いてしまってはならない。それは社長とて同じこと。自分基準で人を見たらいけない。組織基準で人を見よ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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