「部長。良いニュースと悪いニュースです・・・」
「バッドから聞かせてくれ・・・」
(ストーリー)
イスラエルのスパイがイラクのバクダッドで公開処刑されようとしていた。モサドが立てた計略は、国際世論に訴えてフセイン政権を内外から揺さぶり、死刑を中止させようというものであった。各国のジャーナリズムや国際人権擁護員会の抗議団体が入り込むことで、フセイン政権に圧力をかけることになった。
絞首刑が予定されたモサドのエージェントの母親は、神に祈りをささげた。以前、絞首刑に合った死刑囚で5分後も生き続け、蘇生した例、電気イスでも火傷で助かったということもあったらしい。全ては神の思し召しである。
報道陣に扮したモサドのエージェントや抗議団体が死刑執行の場を取り囲む。しかしこんなことで仲間が救えるのか、半信半疑でいた。
絞首刑が執行されたとき、ゴルゴがロープを狙撃、そのままエージェントは落下するだけで命を取り留めた。処刑は終わった。これは神のご意思であると。各国のマスコミが見守る中でやり損じた処刑を二度繰り返せない。まさにモサドの情報戦の勝利であった。
(解説)
「公開処刑の日」の一幕である。モサドの部下と上司の会話だ。悪いニュースは死刑執行のための絞首台の建設が始まったこと、良いニュースは抗議団が派遣されたということ。ただ上司はそれが良いニュースであったとしても、エージェントが救われなければ意味がないといった。
さて、上司も悪いことの状況報告があっただけでは、今後どうするのかについて、判断の下しようがない。そしてその悪い状況をさらに上に伝えるだけになってしまう。できれば、何かに絡めて、別の良いことでもよい、あるいはその悪いことに対する改善策も同時に提案しよう。改善策が、良いニュースの代わりにはなる。
上司としては、良いニュースよりも悪いニュースを先に聞きたいだろう。せっかくの良いニュースが悪いニュースに打ち消されてしまうことのないように。ときには逆に良いニュースが先の方がいいこともある。悪いニュースを打ち消して、どうでもいいと思わせるようなことであれば。情報の順番というのは案外重要である。同じことであっても、良い方を先に言うか悪い方を先に言うか、頭の中で上司の性格も考えながら、また社内事情も検討しながら、シミュレーションしよう。
[教訓]
〇良いニュース、悪いニュースには適切な順番があると心得よ。それはニュースの内容、上司の性格、社内の現状等による。十分にシミュレーションしてからのぞめ。