「それにしても・・・私が、銃による殺人を考えるなんて・・・ブライトン法の理念に反している・・・でも・・・このままあの女を放置しておけば、ますます銃による社会的被害が拡大するっ・・・!!これは大事を救うための小事なんだ!」
(ストーリー)
UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の女性教授アイリーン・ジョゼフソンは社会カオス理論を研究していた。自然科学であったカオス理論を人間社会に拡張するという研究である。暴動の波及ものこの理論で説明が可能という。
エドワード・ムーア・ケネディ上院議員、元ケネディ大統領の弟が、銃規制をテーマにして社会カオス理論の研究成果を見せてほしいと小切手を持ってきた。ジョセフソンはゴルゴに接触をした。狙撃対象はレーガン大統領の報道官ジム・ブライトン。条件はレーガン大統領を狙って失敗してブライトンに当たったと見せかけること。
ブライトンの妻が銃規制に声を上げ、結果、銃を規制するブラントン法案が可決された。そこに全米ライフル協会から、そもそもブライトンの暗殺は、銃規制のために仕組まれた罠と考え、ジョセフソンに、逆に銃を買いたくなるような群集心理を作り出すように依頼。
ジョセフソンは自らの理論が実証されていくにつれて、他の実験を試してみたくなった。そして、群衆の中に異質な特異点があったらどうなるだろう。それは実験としても興味深い。ジョセフソンは自らの理論の立証に、自分をゴルゴの狙撃対象とするように仕組んだ。そしてその結果、ゴルゴは狙撃に失敗すると考えたのだ。
ゴルゴの策略でゴルゴを特異点に押し込んで狙撃を封じ込めるつもりが、ジョセフソン自らが特異点になってしまった。そして理論通りに狙撃された。
(解説)
「カオスの帝国」の一幕である。11年前に夫であるブライトンが、ジョセフソンの実験によって殺害され、銃規制を進めてきた妻がゴルゴに、ジョセフソンの殺害を依頼した。それは自分にとっての理念も反していた(実際、ジョセフソンの殺害を依頼したのは人権監視団体)。ブライトン夫人を擁護すると、全米で起きうる銃の被害(ジョセフソンが巻き起こす)を防ぐために、最小限の銃の被害(銃被害の元凶であるジョセフソンの殺害)はやむなしと考えているということだ。大事を救う小事とも言っている。
経営者には理念というものがあるだろう。しかしその理念を追求していると、思ったよりも物が売れないとか、会社に損害が生じる場合も少なくない。そこで理想論をひとまず捨てて、現実論に走ることは必要不可欠な時も多い。
そもそも理想論が邪魔をして、ビジネスが上手くいかないこと模倣が多いかもしれない。その場合には理想論そのものを変える必要も出てくる。ビジネスは成功することが正義ともいえる。それ故、理想を掲げるのは良いが、あまりこだわりすぎるのも良くない。一度理想を考え直す柔軟性を持ちたいものだ。
[教訓]
〇理想論に拘りすぎると、ビジネスの足かせになって上手くいかないことも多い。
〇上手くいかないときは、理想論の見直しも必要。あなたの理想論は必ずしも社会の理想論でないこともある。
〇総論での理想論は良いが、各論での理想論は徹底しない方が良い結果を生むことも多い。