「1か月の間にビッグ・ドンを油断させ・・・ソフィアまで誑し込むとは、流石に噂に聞いたナイフ・サムのやり方だぜ・・・」
(ストーリー)
アメリカでの国道95号線はネバダ州を縦断している。95号線上にモーテルがあり、ある女性がやってきた。女性は、モーテルの主人に「あなたがドン・バローネ・・・?」と尋ねるが否定する。使用人の男エンリコが、女性を部屋まで案内した。
エンリコはマフィアを7年前に引退したビッグ・ドンはこんなしけたところにはいないと言った。そのモーテルにはゴルゴも泊まっていた。翌日モーテルの主人が殺されていた。そして葬儀が営まわれた。女性はこの殺された人がドン・バローネだったのだと言った。女性は彼に取材に来たジャーナリストだった。
また、その葬儀にジョーという男がやってきた。ビッグ・ドンの孫娘ソフィアと兄妹同様に育った人物である。ジョーは使用人の男エンリコに声をかけた。ジョーは彼をナイフ・サムと呼び、バローネを殺したと看破する。1か月の間にビッグ・ドンを油断させ、殺したと推測した。ジョーはエンリコを射殺した。そこにゴルゴがやってきて、撃ち合う。しかしゴルゴはジョーの左腕を狙っただけだった。ゴルゴの依頼は「左利きのジョーの腕を取られたくはない」であって、「命を取れ」ではなかった、と言いそのまま去っていった。
(解説)
「ルート95」の一幕である。マフィアの大物が田舎町でモーテルの主人になって細々と暮らしている。しかし組織にとってみれば裏切り者であって、消されてしまう。エンリコはまずモーテルの使用人として入り込んだ。その間にドン・バローネの娘とも仲良くなり、家族同然の関係を結ぶ。しかも爺さんとまで呼ぶ。そうして信頼を勝ち得てから行動を起こす。
ビジネスにおいても、一朝一夕にして信頼関係は作れない。関係を作るには時間がかかる。今日会ってすぐに顧客になることもあるが、よほどのフィーリングが必要だろう。どんなことであれ、時間をかけていれば、信頼関係は熟成されていく。当然、お互いに嫌な奴だと思っていたら、永遠に信頼関係がなく、全くの無関係か、同じ組織に居れば、大人の関係になるのだけである。要するに社交辞令という奴だが。
[教訓]
〇懐に入るには、時間をかけよう。
〇時間が信頼関係を熟成させる。酒のようなものだ。