(アイルランド)「オーケリーが三つ(ミルク瓶)を出したら。ロスに電話することになっているのじゃ・・・南ア航空117便か・・・うちが貧乏せずに暮らせるのも年金のおかげじゃからな・・・」
(ロサンゼルス)「世の中にはうまい話ってのがあるんだよな!この十年間でたった四回、アイルランドからの電話を受けて、ローマに電話するだけ。それで、ここで飲みきれないほどの年金をもらってるんだ!」
(ローマ)「そうケニアに電話するんだった・・・これは仕事でね。貴族には平民にはわからない仕事があるんだよ・・・何年かに1回電話するだけで、君に指輪を買ってやれる・・・というね。」
(ケニア)「ローマの何とか言う気どった男から電話だよーっ!」
「ローマ・・・5年ぶりだな・・・」
「5年前は、結局誰も来なかったが・・・約束の待ち時間は、あと一時間・・・」
「あんまり遅いんでまた、待ちぼうけかと思ったよ・・・ところで、あんたが俺の雇い主かい?この年金をもらえる仕事はありがたい・」
(ストーリー)
南ア航空117便が墜落事故を起こした。この飛行機にはゴルゴが乗っており、一人怪我だけで生き延びた。しかし満身創痍であり、この隙をついて、アメリカとソ連はゴルゴを亡きものにしようと考えた。
アレン・ターナー大統領補佐官がバンク大佐の元を訪れ、ゴルゴが負傷してタンザニアの原野を彷徨し、しかも武器を持っていないこと、そしてデルタでゴルゴを殺害することが大統領の命令であることを伝えた。
アメリカではデルタ部隊、ソ連ではスペツナズが怪我をしているゴルゴを追った。ゴルゴも軍隊が自らを狙っていることを確認しつつ、反撃と逃亡を開始。兵隊は、自らのヘリのミサイルでゴルゴを狙うつもりが、自ら落石にあって死亡する。
アメリカ空軍は一つ懸念材料があった。ゴルゴはどうやらアメリカのミサイル発射施設に向かっているのではないか。
軍隊はゴルゴを洞窟まで追い込んだ。坑道の中で追ってくる軍隊に堰を決壊させ水を落とし込んだ。
ターナーはミサイル基地にたどり着いたゴルゴと対面し、ミサイルの存在を多言しないことを条件として、脱出用のヘリを提供すると交渉したが、ゴルゴは応じず、無言で去っていた。そして、自らの脱出用ヘリで去っていった。
(解説)
「最後の戦場」の一幕である。タンザニアでの航空機墜落から、どのようにアイルランドに連絡を取ったのかは謎ではあるが、しかし、普段何もしていない人たちにコンスタントにお金を払い続け、いざと言う時はそれが機能する。まさに保険年金である。それだけゴルゴは儲けているといってしまえばそれっきりだが、ここまでリスクマネジメントを徹底的に行っている人はいない。いつも費用対効果で、こいつの働きにはこの程度支払う、それが市場価値と馬鹿の一つ覚えでしか給料や報酬を考えていない。だからいざと言う時には、自分もこけてしまう。
ある人は、自分が儲けたときには多めに払い、自分が儲けていないときには逆に仕事を出してもらう、と言ったマネジメントを行っている人がいる。ゴルゴの方法には及ばないが、それに近い方法と言える。ビジネスにおいては、他人に保険を払えるかどうか、それは保険会社にではない。普段、儲けているときに他人に多めに払っておけるか、それが生存競争を勝ち得る秘訣と言える。もちろん多めに払って、それがいざと言う時に返ってこないこともある。人を見る目も大切なことはいうまでもない。
[教訓]
〇ビジネスにおいては、生命保険会社ではなく、周りの人に保険を払え。ビジネスリスクの回避につながる。