「クレバスの中で一人でビバークしろ・・・危険だが、吹雪と寒波を避けるには、これしかない・・・」
「わ、私一人でですか?あなたは・・・?」
「嵐が収まっても俺が帰らなければ・・・一人で南のネパール側へ下れ。生還の可能性もある。」
「い、いえ、ここで待っています!あなたが帰ってくるまで!」
「俺を待っても俺が帰らなければ死ぬだけだぞ・・・」
(ストーリー)
中国はチベットの共産化に躍起になっている。チベットの転生祭のクライマックスで柱を立てたが、その柱のロープをゴルゴが狙撃。柱が倒れた。中国に押し付けられた偽の生まれ変わりによって、神様が怒ったとチベットの民衆は騒いだ。
その隙にダライ・ラマが見出した、バンチェン・ラマの生まれ変わりラモンはチベットの数名の男たちと脱出した。中国の山岳部隊が追って来る。その中をラモンだけが辛くも逃げ出した。そしてラモンはゴルゴとチョモランマで遭遇する。
部隊は足跡から大人が接触したことを知る。そいつは、群衆の中でロープを狙撃し、単独でチョモランマ越えが必要な仕事を引き受けた男だから、筋金入りのプロだろうと。しかし平地ではどんなに鍛えても、山岳部隊のような超人にはなれない。しかも三割の濃度しかないチョモランマの酸素は思考能力や体力両面に襲い掛かってくる。
吹雪が過ぎ去り、ゴルゴとラモンは動き出す。それを山岳部隊が追う。ゴルゴとラモンは、死の壁をザイルなしで渡る。その絶壁を山岳部隊も進む。部隊のリーダーは、相手がゴルゴと知り、部隊のメンバーに下山を命令する。山岳部隊を崩壊させないために、リーダーだけがゴルゴを追うことにした。
今回のゴルゴへの依頼は、ダライ・ラマであった。もちろん殺生は依頼できない。そこで、ロープを射撃すること、また、依頼ではないが、迷える者が現れたら、願わくばそのものを救済してくださいと言う。それがラモンのことであった。
ゴルゴはラモンを置き、自ら先を進む。ゴルゴも凍傷が進んでいる。部隊のリーダーはゴルゴを追い詰めたところで、狙撃したところ、逆にゴルゴの罠にはまり、雪崩に巻き込まれて死ぬ。それを見届けてから、クレバスの中でビバーク(登山中、緊急避難的に野外で一夜を過ごすこと)させていたラモンを助けに戻った。
(解説)
「白龍昇り立つ」の一幕である。山岳部隊に迫られ、特にリーダーは手ごわい。そこでゴルゴだ取った手が、ラモンを残し、自分が囮になって、山岳部隊をおびき寄せ、追手を消してから、ラモンを迎えに行く作戦であった。そこでゴルゴがラモンをクレバスに隠して、ビバークさせたわけだ。
山で遭難するときには、トラブってしまって、体力を使い果たしり、あるいは闇雲に動いて、転落するようなことが多い。そのため、日が暮れてしまったり、天候が急変したり、あるいはメンバーが疲労で動けなくなったり、山岳遭難の一歩手前のときには、緊急不時泊は不可欠である。
ビジネスにおいても、トラブルに見舞われたとき、焦って動くと大抵ロクなことはない。損失がさらに広がることも多い。トラブったときこそ、深呼吸をして、客に何を言われようと、落ち着いて、気持ちの中ではうるせーと思っていい。まずはあなたが正常になることの方が重要だ。正常になればどんなことにも対処できるのだから。色々な意味で体力を回復すること。ビジネスにもビバークが必要だ。
[教訓]
〇ビジネス上トラブったときには堂々とビバークせよ。